源泉所得税の納期の特例を申請したあと、 「承認されたら次に何をすればいい?」 「半年分の源泉所得税はどうやって納付する?」 と迷う方も多いのではないでしょうか。
納期の特例が適用されると、対象となる源泉所得税・復興特別所得税は、原則として7月10日と翌年1月20日の年2回にまとめて納付します。
ただし、半年分の税額だけを計算すればよいわけではありません。 「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期特例分)」を作成し、給与の支給額・人員・源泉徴収税額などを記載して納付します。
承認後にやることはこの4つ
① 毎月、給与・源泉徴収税額を記録する
② 1月~6月、7月~12月ごとに半年分を集計する
③ 納期特例分の所得税徴収高計算書を作成する
④ 7月10日・翌年1月20日までに納付する
給与の支払いを始める際の手続きについては、 給与支払事務所等の開設届出書の書き方 もあわせて確認してください。
- 納期の特例が承認されたら、いつから年2回の納付になる?
- 納期の特例を適用した後の納付期限は年2回
- 納付前に半年分の給与・源泉所得税を集計する
- 【画像で確認】納期特例分の所得税徴収高計算書の書き方
- ①~⑦|所得税徴収高計算書(納期特例分)の記入方法
- 給与以外の支払いがある場合は別の欄に記入する
- e-Taxなら納付書を手書きせずに手続きできる
- 源泉所得税の具体的な納付方法
- 納付税額が0円でも所得税徴収高計算書は提出する
- 1月20日の納付では年末調整の結果を反映する
- 常時10人以上になったら納期の特例を続けられない
- 納付期限を過ぎたらどうする?
- 源泉所得税の納期の特例を適用した後によくある質問
- まとめ|毎月記録して、7月と1月にまとめて納付する
- 参考:国税庁の公式情報
納期の特例が承認されたら、いつから年2回の納付になる?
申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から却下の通知がなければ、その翌月末日に承認されたものとみなされます。
原則として、申請書を提出した月の翌月に源泉徴収する税額から納期の特例の対象になります。
例:2026年4月に申請した場合
4月に源泉徴収した分 → 原則どおり5月10日までに納付
5月・6月に源泉徴収した対象税額 → 7月10日までにまとめて納付
そのため、初めて納期の特例を使う年は、必ずしも最初から6か月分をまとめて納付するとは限りません。
納期の特例を適用した後の納付期限は年2回
| 対象期間 | 納付期限 |
|---|---|
| 1月~6月に源泉徴収した分 | 7月10日 |
| 7月~12月に源泉徴収した分 | 翌年1月20日 |
納付期限が休日の場合
7月10日または1月20日が土曜日・日曜日・祝日などに当たる場合は、その休日明けの日が納付期限になります。
個人事業主は源泉所得税だけでなく、所得税や消費税なども管理する必要があります。 個人事業主の税金の種類・納税時期 も確認しておくと、年間の納税スケジュールを整理しやすくなります。
納付前に半年分の給与・源泉所得税を集計する
7月または翌年1月の納付時期になったら、対象期間の給与や源泉徴収税額を集計します。
準備しておく数字
- 給与を実際に支払った日
- 給与を支払った人員
- 対象期間の給与支給額
- 給与から源泉徴収した税額
- 賞与がある場合は賞与の支給額・税額
- 退職手当を支払った場合はその支給額・税額
- 税理士等への対象報酬がある場合は支給額・税額
源泉徴収した税額は納税用に確保しておきましょう
納期の特例では数か月分をまとめて納付するため、1回の納付額が大きくなります。毎月の源泉徴収額を記録し、7月・1月の納税資金を確保しておくことが重要です。
【画像で確認】納期特例分の所得税徴収高計算書の書き方
実際に納付するときは、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期特例分)」を使用します。
特に間違えやすい7か所を①~⑦で示しました。画像を見ながら、下の解説と照らし合わせてください。

出典:国税庁「所得税徴収高計算書(納付書)の様式変更等」掲載の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期の特例用)をもとに番号を追記
画像について
画像は、国税庁が2026年9月24日から税務署窓口で配付予定として公表しているA4単票式のイメージをベースにしています。実際の様式には、画像中の「このデータを印刷したものは、」という表示は印刷されません。
①~⑦|所得税徴収高計算書(納期特例分)の記入方法
① 納期等の区分
納期の特例の対象となる期間の最初と最後の月を記入します。例えば、2026年1月~6月分を納付する場合は、令和8年の「自 1月」「至 6月」となる形です。
② 支払年月日
対象期間に給与を実際に支払った最初の日と最後の日を記入します。
例えば毎月25日払いで、1月~6月まで給与を支払った場合は、「1月25日~6月25日」のように記載します。
③ 人員
納期の特例の場合は、現在の従業員数ではなく、対象期間の各月の実人員を合計した人数を記入します。
例:毎月2人に給与を支払った場合
2人 × 6か月 = 12人
この場合、「人員」欄には12と記入します。
④ 支給額
対象期間に実際に支払った給与の総額を記入します。賞与を支払っている場合は、通常の給与とは分けて「賞与」の欄へ記入します。
⑤ 税額
④の給与について、各月に実際に源泉徴収した所得税・復興特別所得税の合計額を記入します。
納付時に給与総額から改めて概算するのではなく、毎月の給与計算で源泉徴収した税額を合計します。
⑥ 年末調整による不足税額・超過税額
主に7月~12月分を翌年1月20日に納付する際に確認する欄です。
年末調整で追加徴収した税額がある場合は「不足税額」、従業員へ還付した税額がある場合は「超過税額」に反映します。
⑦ 本税・延滞税・合計額
最終的に納付する本税を記入します。期限内に通常どおり納付する場合、延滞税欄は通常記入しません。
紙の納付書では、合計額の金額頭部に「¥」を記載する点にも注意してください。
2026年中に新様式を使う場合の注意
新様式には「源泉所得税、復興特別所得税及び防衛特別所得税」と記載されていますが、2026年12月以前に生じた所得については、防衛特別所得税を含まないため、「源泉所得税及び復興特別所得税」と読み替えます。
給与以外の支払いがある場合は別の欄に記入する
納期の特例の対象には、給与・賞与だけでなく、退職手当や税理士・弁護士・司法書士など一定の専門家への報酬も含まれます。
該当する支払いがある場合は、「退職手当等」「税理士等の報酬」など、それぞれ対応する欄へ支払年月日・人員・支給額・税額を記入します。
すべての源泉所得税が年2回になるわけではありません
原稿料や講演料など、納期の特例の対象外となる報酬から源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。
e-Taxなら納付書を手書きせずに手続きできる
源泉所得税は、e-Taxを利用して所得税徴収高計算書の作成・送信から納付までオンラインで行えます。
e-Taxでの基本的な流れ
STEP 1 e-Taxソフト(WEB版)などへログイン
STEP 2 「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期特例分)」を選択
STEP 3 半年分の人員・支給額・税額などを入力
STEP 4 所得税徴収高計算書を送信
STEP 5 納付方法を選択して納付
源泉所得税の具体的な納付方法
| 納付方法 | 特徴 | 手数料等 |
|---|---|---|
| ダイレクト納付 | 登録した口座から直接引き落とし | 国税の利用手数料なし |
| インターネットバンキング | Pay-easy対応金融機関から納付 | 国税の納付手数料なし |
| クレジットカード | カードで納付可能 | 決済手数料あり |
| スマホアプリ納付 | スマホ決済アプリを利用 | 納付税額30万円以下 |
| 金融機関・税務署窓口 | 所定の納付書を使い現金納付 | 納付手数料なし |
ダイレクト納付なら期日指定もできる
ダイレクト納付は、事前に届け出た預貯金口座から直接納税する方法です。
e-Taxで所得税徴収高計算書を送信した後、そのまま納付手続きへ進めるため、毎回金融機関へ行く必要がありません。
期日指定をしても口座残高は確認
引落日に口座残高が不足していると納付は完了しません。7月10日・1月20日の前に、納付税額と口座残高を確認しておきましょう。
納付税額が0円でも所得税徴収高計算書は提出する
年末調整による還付などで納付税額が0円になる場合でも、所得税徴収高計算書の提出は必要です。
0円だから何もしなくてよいわけではありません
e-Taxを利用すれば、納付税額0円の所得税徴収高計算書もそのまま送信できます。
1月20日の納付では年末調整の結果を反映する
7月~12月分を翌年1月20日に納付する場合は、年末調整の結果も所得税徴収高計算書に反映します。
年末調整で従業員から追加徴収した金額がある場合は、画像⑥の「年末調整による不足税額」に記入します。
反対に、従業員へ所得税を還付した場合は「年末調整による超過税額」へ記入します。
年末調整後は⑥と⑦を特に確認
年末調整の結果によって、源泉所得税の実際の納付額が変わります。給与・賞与の源泉徴収額をそのまま合計して納付しないようにしましょう。
常時10人以上になったら納期の特例を続けられない
事業の拡大などにより、給与の支給人員が平常の状態で10人以上となった場合は、納期の特例の要件を満たさなくなります。
その場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出し、原則の毎月納付へ戻ります。
個人事業主が家族に給与を支払っている場合は、 青色事業専従者給与に関する届出書の書き方 もあわせて確認してください。
納付期限を過ぎたらどうする?
7月10日または翌年1月20日の納付期限を過ぎると、状況に応じて不納付加算税や延滞税が生じる場合があります。
納付漏れに気付いた場合は、そのまま放置せず、できるだけ早く納付しましょう。
年2回だからこそ納付忘れに注意
毎月納付と比べて手続き回数が少ないため、7月10日・1月20日の期限そのものを忘れやすくなります。あらかじめカレンダーへ登録しておくのがおすすめです。
源泉所得税の納期の特例を適用した後によくある質問
Q. 納期の特例の納付期限はいつですか?
1月~6月に源泉徴収した対象税額は7月10日、7月~12月分は翌年1月20日です。
Q. 「人員」には現在の従業員数を書きますか?
いいえ。納期の特例では、対象期間の各月の実人員を合計します。毎月2人に6か月間給与を支払った場合は「12人」です。
Q. 納付書は毎月分を6枚作るのですか?
いいえ。納期の特例では、対象となる半年分を「納期特例分」の所得税徴収高計算書にまとめて記載します。
Q. e-Taxで納付できますか?
はい。e-Taxで納期特例分の所得税徴収高計算書を作成・送信し、ダイレクト納付などで納税できます。
Q. 源泉所得税が0円でも提出が必要ですか?
はい。納付する税額が0円でも、所得税徴収高計算書は提出します。
Q. 税理士報酬も7月・1月にまとめられますか?
税理士・弁護士・司法書士など、納期の特例の対象となる一定の報酬から源泉徴収した税額は、給与等と同様にまとめて納付できます。
Q. スマホアプリで納付できますか?
納付税額が30万円以下であれば、スマホアプリ納付も利用できます。
まとめ|毎月記録して、7月と1月にまとめて納付する
源泉所得税の納期の特例が適用された後は、毎月の源泉徴収額を記録しておき、半年ごとにまとめて納付します。
毎月:給与・人員・支給額・源泉徴収税額を記録
7月:1月~6月分を集計し、7月10日までに納付
翌年1月:7月~12月分を集計し、1月20日までに納付
特に間違えやすいのが、画像③の「人員」と、年末調整を行った後の画像⑥・⑦です。
税金や確定申告について基礎から確認したい方は、 タクバツの税金ガイド もご覧ください。
確定申告を丸投げしたいならタクバツへ
参考:国税庁の公式情報
- 国税庁「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」
- 国税庁「納付書の記載のしかた(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)」
- 国税庁「令和8年版 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)の記載例」
- 国税庁「所得税徴収高計算書(納付書)の記載のしかた・様式変更等」
本記事は2026年8月15日時点の法令および国税庁公表情報をもとに作成しています。所得税徴収高計算書については、2026年9月24日から税務署窓口で配付する様式の変更が予定されています。実際に納付する際は、最新の国税庁情報をご確認ください。


