「事業用のパソコンや設備を買ったけれど、償却資産の申告も必要?」
「確定申告で減価償却しているから、それだけでいいのでは?」
このように迷いやすいのが、固定資産税(償却資産)の申告です。
会社や個人事業主が事業で使う機械、パソコン、店舗内装、看板、駐車場設備などは、償却資産として毎年申告が必要になる場合があります。
まず押さえたい5つのポイント
① 毎年1月1日時点で所有している事業用資産を確認する
② 申告期限は原則として毎年1月31日
③ 確定申告とは別に申告する
④ 課税標準額が免税点未満でも、原則として申告は必要
⑤ 東京都23区ではeLTAXによる電子申告も可能
個人事業を始めたばかりの方は、 個人事業主の開業届の書き方・提出期限 もあわせて確認しておくと、開業後の税務手続きを整理しやすくなります。
- 償却資産税とは?事業用設備などにかかる固定資産税
- まず確認|どんなものが償却資産の申告対象になる?
- 10万円・20万円・30万円|少額資産の扱いに注意
- 150万円未満でも申告は必要?「免税点」と申告義務は別
- 償却資産の申告期限・提出先
- 東京都の償却資産申告で使用する3つの書類
- 【記入例】償却資産申告書の書き方
- ①~⑪|償却資産申告書の主な記入項目
- 【記入例】種類別明細書(増加資産・全資産用)の書き方
- ①~⑫|増加資産・全資産用の主な記入項目
- 【記入例】種類別明細書(減少資産用)の書き方
- ①~⑩|減少資産用の主な記入項目
- 3つの書類は毎年すべて必要?
- eLTAXなら償却資産をオンラインで申告できる
- 償却資産税はいくら?東京都23区の基本的な計算
- 申告期限を過ぎた場合や申告漏れに気付いたら?
- 償却資産の申告に関するよくある質問
- まとめ|固定資産台帳を確認して、必要な3つの書類を使い分ける
- 参考:東京都主税局・eLTAXの公式情報
償却資産税とは?事業用設備などにかかる固定資産税
一般に「償却資産税」と呼ばれることがありますが、正式には固定資産税のうち償却資産に対して課税されるものです。
土地や家屋以外で、事業のために使用することができる機械・設備・器具・備品などが主な対象になります。
確定申告とは別の手続きです
所得税や法人税の申告で減価償却費を計上していても、償却資産の申告が自動的に完了するわけではありません。対象となる資産がある場合は、資産所在地の自治体へ別途申告します。
まず確認|どんなものが償却資産の申告対象になる?
代表的な申告対象と対象外の資産を、下の一覧にまとめました。
「パソコンは?」「車は?」「店舗の内装は?」と迷った場合は、まず一覧で大まかに確認してみてください。

※申告対象となるかは、資産の用途・取得価額・会計処理などによって異なる場合があります。
申告対象になりやすい資産
| 種類 | 代表例 |
|---|---|
| 構築物 | 看板、舗装、駐車場設備、門・塀、テナント内装など |
| 機械及び装置 | 製造設備、厨房設備、機械式駐車設備など |
| 車両及び運搬具 | 大型特殊自動車など |
| 工具・器具・備品 | パソコン、コピー機、レジ、家具、医療機器、美容機器など |
パソコンについては購入金額や処理方法によって取扱いが変わるため、 パソコンを購入した場合の経費計上・減価償却 も参考にしてください。
原則として申告対象にならないもの
- 土地
- 家屋として固定資産税が課税される建物
- 普通自動車や軽自動車など、自動車税・軽自動車税の対象となるもの
- ソフトウェア・特許権などの無形固定資産
- 開業費などの繰延資産
- 一定の少額資産
ソフトウェアは会計上、固定資産として処理する場合がありますが、償却資産税では無形固定資産のため原則として対象外です。 ソフトウェアを購入した場合の勘定科目・仕訳 も参考にしてください。
10万円・20万円・30万円|少額資産の扱いに注意
| 会計処理 | 主な金額 | 償却資産申告 |
|---|---|---|
| 一時に必要経費・損金算入 | 10万円未満など | 一定の場合は対象外 |
| 一括償却資産 | 20万円未満を3年間で一括償却 | 一定の場合は対象外 |
| 少額減価償却資産の特例 | 一定の30万円未満の資産 | 申告対象となる |
| 通常の減価償却 | 申告対象となる固定資産 | 原則申告対象 |
「30万円未満なら申告しなくていい」は誤りです
中小企業者等の少額減価償却資産の特例を使い、所得税・法人税で全額を必要経費や損金にしている資産でも、固定資産税(償却資産)では申告対象になります。
経費になるもの・ならないものを整理したい方は、 個人事業主の経費の基本 も確認しておきましょう。
150万円未満でも申告は必要?「免税点」と申告義務は別
2026年度(令和8年度)は、同一区内に所有する償却資産の課税標準額の合計が150万円未満であれば、原則として固定資産税(償却資産)は課税されません。
2027年度から免税点が引き上げられます
令和8年度まで:150万円未満
令和9年度以後:180万円未満
ただし、免税点は「申告しなくてよい基準」ではありません。
償却資産を所有している場合は、課税標準額が免税点を下回ると見込まれる場合でも、原則として申告が必要です。
償却資産の申告期限・提出先
原則の申告期限
毎年 1月31日
※土日・祝休日の場合は翌開庁日
申告するのは、毎年1月1日時点で所有している償却資産です。
東京都23区の場合は、資産が所在する区を担当する都税事務所へ提出します。複数の区に資産がある場合は、原則として資産所在地ごとに申告します。
個人事業主の税金全体については、 個人事業主の税金の種類・納税時期 もあわせて確認してください。
東京都の償却資産申告で使用する3つの書類
東京都主税局の一般方式で申告する場合、主に次の3つの書類を使用します。
| 書類 | 主な役割 |
|---|---|
| 償却資産申告書 | 申告者情報や資産種類ごとの取得価額などをまとめる基本の申告書 |
| 種類別明細書(増加資産・全資産用) | 新しく取得した資産や、初回申告時の全資産などを資産ごとに記載 |
| 種類別明細書(減少資産用) | 売却・除却・移動などで減少した資産を記載 |
【記入例】償却資産申告書の書き方
まずは、申告全体の基本となる「償却資産申告書(償却資産課税台帳)」を確認します。
下の画像は東京都主税局の実際の様式に、主な記入箇所が分かるよう番号を付けたものです。

出典:東京都主税局「償却資産申告書(償却資産課税台帳)」に番号を追記
①~⑪|償却資産申告書の主な記入項目
① 年度・提出日
申告する年度と、申告書を提出する日を記入します。
② 住所
個人の場合は住所、法人の場合は本店所在地などを記入します。電話番号もあわせて記載します。
③ 氏名・法人名・代表者氏名
個人事業主は氏名と屋号、法人は法人名と代表者氏名などを記入します。
④ 個人番号または法人番号
個人の場合は12桁の個人番号、法人の場合は13桁の法人番号を記入します。
⑤ 事業種目・資本金等の額
行っている事業内容を記入します。法人の場合は資本金等の額も記載します。
⑥ 事業開始年月
その事業を開始した年月を記入します。
⑦ 申告に応答する担当者・税理士等
自治体から申告内容について問い合わせがあった場合に対応できる担当者の氏名・電話番号を記入します。税理士等へ依頼している場合は、その氏名・電話番号も記載します。
右側の「有・無」欄も確認
短縮耐用年数の承認、増加償却の届出、非課税該当資産、課税標準の特例、特別償却・圧縮記帳、税務会計上の償却方法、青色申告などについて該当する項目を確認します。
⑧ 取得価額
構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具・器具及び備品の種類ごとに取得価額を記入します。
「前年前に取得したもの」「前年中に減少したもの」「前年中に取得したもの」を整理して、当年度の取得価額を計算します。
⑨ 資産の所在地
申告する市区町村内で、償却資産を置いている事業所・店舗・工場などの所在地を記入します。
⑩ 借用資産・事業所用家屋の所有区分
リースや賃貸などの借用資産がある場合は「有」を選び、貸主の名称等を記入します。事業所用家屋が自己所有か借家かも選択します。
⑪ 備考・添付書類等
廃業、移転、合併、資産の増減がない場合など、自治体へ伝える事項があるときに記載します。
申告書だけでは資産一つひとつの内容は分かりません
個別の資産名・取得年月・取得価額・耐用年数などは、次の「種類別明細書(増加資産・全資産用)」で確認します。
【記入例】種類別明細書(増加資産・全資産用)の書き方
初めて東京都へ償却資産を申告する場合は、原則として1月1日時点で所有する対象資産を「種類別明細書(増加資産・全資産用)」へ記入します。
前年も申告している場合は、前年中に取得した資産や、過去に取得していたものの申告が漏れていた資産などを記載します。

出典:東京都主税局「種類別明細書(増加資産・全資産用)」に番号を追記
①~⑫|増加資産・全資産用の主な記入項目
| 番号 | 項目 | 記入内容 |
|---|---|---|
| ① | 所有者氏名・名称 | 個人事業主の氏名または法人名を記入します。 |
| ② | 年度・氏名コード等 | 申告年度、必要に応じて氏名コード・CD・ページ番号等を確認します。 |
| ③ | 資産コード | 資産を管理するため独自に設定しているコードがあれば記入します。 |
| ④ | 資産の種類・名称等 | 資産区分と「ノートパソコン」「厨房設備」など具体的な資産名を記載します。 |
| ⑤ | 数量 | 同じ資産を何台・何個取得したかを記入します。 |
| ⑥ | 取得年月 | 実際に資産を取得した年月を記入します。 |
| ⑦ | 取得価額 | 資産を取得するために要した取得価額を記載します。 |
| ⑧ | 耐用年数・減価残存率 | 法定耐用年数を確認し、必要な方式では減価残存率も記入します。 |
| ⑨ | 価額 | 申告方式に応じて評価額を記載します。 |
| ⑩ | 課税標準の特例・課税標準額 | 課税標準の特例を受ける資産について必要事項を記入します。 |
| ⑪ | 増加事由 | 新品取得・中古品取得・移動による受入れ・その他から該当するものを選択します。 |
| ⑫ | 摘要 | 資産について補足しておきたい内容がある場合に記載します。 |
初めて申告する方は「増加した資産だけ」ではありません
その都税事務所へ初めて申告する場合は、原則として1月1日時点で所有している申告対象資産をすべて確認して記載します。
【記入例】種類別明細書(減少資産用)の書き方
前年中に売却・除却・移動などで資産が減少した場合は、「種類別明細書(減少資産用)」に記載します。
前年に申告した資産のうち、現在は所有していない資産がある場合に使う書類と考えると分かりやすいでしょう。

出典:東京都主税局「種類別明細書(減少資産用)」に番号を追記
①~⑩|減少資産用の主な記入項目
| 番号 | 項目 | 記入内容 |
|---|---|---|
| ① | 所有者氏名・名称 | 個人事業主の氏名または法人名を記入します。 |
| ② | 異動区分 | 資産の減少なら「1」、前年の申告内容を修正する場合は「3」を選びます。 |
| ③ | 資産コード・資産の種類 | 前年の申告内容を確認し、対象資産を特定できる情報を記入します。 |
| ④ | 資産の名称等 | 売却・除却などを行った資産の名称を記入します。 |
| ⑤ | 数量 | 減少した資産の数量を記入します。 |
| ⑥ | 取得年月 | その資産を取得した年月を前年の申告内容等から確認して記入します。 |
| ⑦ | 取得価額 | 減少した資産の取得価額を記載します。 |
| ⑧ | 耐用年数等 | 前年まで申告していた内容を確認して記載します。 |
| ⑨ | 減少等の事由 | 売却・除却・移動・その他から該当する理由を選択します。 |
| ⑩ | 摘要 | 「廃棄」「○○区へ移動」など、必要に応じて減少理由を補足します。 |
減少資産がなければ、毎年この用紙を書くわけではありません
種類別明細書(減少資産用)は、売却・除却・移動・修正など、前年の資産内容から変更がある場合に使用します。
3つの書類は毎年すべて必要?
「3種類あるなら、毎年全部出さないといけない?」と思うかもしれませんが、申告状況によって必要な書類は変わります。
| 状況 | 主な書類 |
|---|---|
| 初めて申告する | 償却資産申告書 + 増加資産・全資産用 |
| 前年中に資産を取得した | 償却資産申告書 + 増加資産・全資産用 |
| 売却・除却した資産がある | 償却資産申告書 + 減少資産用 |
| 増加と減少の両方がある | 償却資産申告書 + 増加資産・全資産用 + 減少資産用 |
eLTAXなら償却資産をオンラインで申告できる
固定資産税(償却資産)は、地方税ポータルシステムのeLTAXによる電子申告にも対応しています。
eLTAXを使うメリット
- 都税事務所へ行かずに申告できる
- 郵送する必要がない
- 複数の自治体への申告をオンラインで行いやすい
- PCdeskを利用して申告データを作成できる
償却資産税はいくら?東京都23区の基本的な計算
申告した取得価額がそのまま課税標準額になるわけではありません。取得年月・取得価額・耐用年数などをもとに評価額を算出します。
東京都23区の基本的な税額
課税標準額 × 1.4%
課税標準額が200万円で、課税標準の特例がないと仮定すると、単純計算では固定資産税は2万8,000円です。
免税点を超えた部分だけに課税する制度ではありません
課税標準額が免税点以上となった場合、「超えた金額」にだけ1.4%を掛けるわけではありません。原則として課税標準額をもとに税額を計算します。
申告期限を過ぎた場合や申告漏れに気付いたら?
期限を過ぎていることに気付いた場合は、そのまま放置せず、資産所在地を担当する自治体へ確認して早めに申告しましょう。
東京都では、正当な理由なく申告しなかった場合には過料が科される場合があり、虚偽申告についても罰則があります。
固定資産台帳と過去の申告書を照合しましょう
パソコン、店舗内装、厨房設備、看板などを購入しているにもかかわらず償却資産申告書に載っていない場合は、申告漏れがないか確認してください。
償却資産の申告に関するよくある質問
Q. 個人事業主でも償却資産の申告は必要ですか?
はい。法人か個人かにかかわらず、1月1日時点で申告対象となる事業用の償却資産を所有していれば、原則として申告が必要です。
Q. 150万円未満なら申告しなくていいですか?
いいえ。150万円は令和8年度までの免税点で、申告不要となる基準ではありません。なお、令和9年度以後は償却資産の免税点が180万円へ引き上げられます。
Q. 30万円未満のパソコンを一括で経費にしたら申告不要ですか?
中小企業者等の少額減価償却資産の特例を利用した資産は、固定資産税(償却資産)では申告対象となります。
Q. ソフトウェアは償却資産税の対象ですか?
ソフトウェアなどの無形固定資産は、原則として固定資産税(償却資産)の申告対象外です。
Q. 売却したパソコンや設備はどうしますか?
前年まで申告していた資産を売却・除却した場合は、種類別明細書(減少資産用)に記載します。
Q. 減価償却が終わった資産も申告しますか?
償却が終わっていても、現在も事業に使用できる状態で所有している資産は申告対象になる場合があります。
Q. eLTAXで申告できますか?
はい。固定資産税(償却資産)はeLTAXによる電子申告に対応しています。
まとめ|固定資産台帳を確認して、必要な3つの書類を使い分ける
償却資産の申告では、まず1月1日時点で所有している事業用資産を確認することから始めます。
① 固定資産台帳を確認する
② 申告対象・対象外を判定する
③ 償却資産申告書を作成する
④ 増加した資産があれば増加資産用を作成する
⑤ 売却・除却した資産があれば減少資産用を作成する
⑥ 原則1月31日までに提出する
確定申告や税金について基礎から確認したい方は、 タクバツの税金ガイド もご覧ください。
確定申告を丸投げしたいならタクバツへ
参考:東京都主税局・eLTAXの公式情報
本記事は2026年8月時点の東京都主税局、eLTAX、財務省等の公表情報をもとに作成しています。申告方法や提出先は資産所在地の自治体によって異なる場合があるため、実際の申告時には各自治体の最新情報をご確認ください。


