ある日突然、税務署から電話がきたら、誰でも冷静ではいられないかもしれません。
しかし、慌ててその場で質問に答えたり、調査日程を決めてしまったりするのは避けるべきです。
税務調査の電話は、その後の対応次第で結果が大きく変わる可能性があるため、まずは落ち着いて適切な初動対応をとることが重要です。
この記事では、税務署からの電話に対する正しい対応方法や、電話がかかってくる理由、やってはいけないNG行動について解説します。
税務署からの電話に慌てないで!まず落ち着いてやるべき3つのこと
税務署からの電話連絡は、法人だけでなく個人事業主や副業をしている個人に対しても行われます。
突然の電話に動揺するかもしれませんが、まずは深呼吸をして冷静になりましょう。
その場で即答する必要は一切ありません。
むしろ、準備なく話を進めることはリスクを伴います。
これから説明する3つのステップを落ち着いて実行し、その後の対応に備える時間を作り出すことが重要です。
その1:その場で質問に答えたり日程調整をしない
税務調査官から申告内容に関する質問をされても、その場で答えてはいけません。
曖昧な記憶で回答すると、後々不利な証拠として扱われる可能性があります。
また、調査日程の提案をされても即決は避けましょう。
税務調査は、一般的に過去3〜5年分の帳簿や資料を確認するため、準備には相応の時間が必要です。
いつ、どの時期に調査を受けるかは、こちらの都合も考慮して慎重に検討すべき事項です。
まずは「確認して折り返します」と伝え、時間的猶予を確保してください。
その2:担当者の所属部署・氏名・連絡先を正確に聞く
後でこちらから連絡を取るため、また、なりすまし詐欺の可能性を排除するためにも、電話をかけてきた相手の情報を正確に聞き出し、メモを取ることが不可欠です。
最低限、以下の3点は必ず確認してください。
「税務署名(例:〇〇税務署)」「担当部門(例:法人課税第〇部門)」「担当者の氏名」。
Contextそして、折り返し先の電話番号も忘れずに確認しましょう。
復唱して、聞き間違いがないようにすることが大切です。
これらの情報は、税理士に相談する際にも必要となります。
その3:税理士に相談し、こちらから折り返す旨を伝える
担当者の情報を聞き終えたら、「顧問税理士に相談してから、こちらから改めてご連絡いたします」と伝えて電話を切りましょう。
この一言を伝えることで、税務署側も無理に話を進めようとはしません。
顧問税理士がいない場合でも、「税理士に相談を検討しているため」という理由で問題ありません。
専門家である税理士へ相談することで、今後の対応方針や調査の準備について的確なアドバイスを受けられ、精神的な負担も大幅に軽減できます。
本物の税務署?詐欺電話や偽物ではないかを確認するポイント
近年、国税庁や国税局の職員を名乗る詐欺電話や、自動音声ガイダンスによる不審な連絡が増えています。
税務署が電話で納税を促す際に、ATMの操作を指示したり、口座情報を聞いたりすることは絶対にありません。
もし不審に感じたら、その場で対応せず、一度電話を切ることが重要です。
確認した担当者の名前と部署を基に、自分で調べた税務署の代表番号に電話をかけ直し、そのような職員が在籍しているか、本当に連絡があったかを確認することで、詐欺のリスクを回避できます。
税務署から電話がかかってくる4つの主な理由
税務署から電話がくる理由は、必ずしも本格的な税務調査だけではありません。
申告内容の簡単な確認や納税の督促など、比較的軽微な用件であることも多いです。
電話の内容を冷静に把握することで、自分がどのような状況にあるのかを判断し、適切に対応できます。
ここでは、税務署から電話がかかってくる主な4つの理由について解説します。
理由を理解することで、過度に不安になることを避けられるでしょう。
理由①:確定申告書に記載された内容の簡単な確認
提出された確定申告書について、記載漏れや計算ミス、添付書類の不足といった、単純な不備の確認のために電話がかかってくることがあります。
この場合、電話での説明や修正書類の提出だけで手続きが完了することがほとんどです。
あくまで形式的なミスの確認のみが目的であり、本格的な実地調査に発展する可能性は低いケースです。
この段階の連絡は「行政指導」の一環であり、比較的軽微な内容と捉えて問題ありません。
理由②:滞納している税金の納付に関する督促連絡
納付期限を過ぎても税金が支払われていない場合、その督促のために電話連絡が来ることがあります。
通常、まずは書面での督促状や催告書といった手紙が送付されますが、それでも納付がない、あるいは連絡が取れない場合に電話がかかってくる流れが一般的です。
いつまでに納付できるのか、分割納付の相談など、今後の納付計画に関する話し合いが目的であるケースも含まれます。
無視を続けると、財産の差し押さえなどの滞納処分に移行する可能性が高まります。
理由③:あなたの会社や事業所へ実地調査に入るという事前通知
税務調査の中でも、調査官が実際に事業所などを訪れて帳簿や資料を確認する「実地調査」を行う場合、原則として事前に電話で通知があります。
これは法律で定められた手続きであり、調査の日時、場所、対象となる税目、調査期間などを納税者に伝えることが目的です。
この電話は、本格的な税務調査の開始を意味するため、最も慎重な対応が求められます。
この通知を受けたら、すぐに税理士に連絡し、万全の準備を始める必要があります。
理由④:取引先を対象とした反面調査への協力依頼
自社に申告内容の問題がなくとも、取引先が税務調査を受けている場合に、その裏付け調査(反面調査)として連絡がくることがあります。
これは、取引先に発行した請求書や領収書の控えと、相手方が保管している書類の内容が一致するかを確認するためのものです。
反面調査への協力は法律上の義務であり、正当な理由なく拒否することはできません。
調査官から質問された内容について、保管している書類に基づいて正確に回答する必要があります。
ついやってしまいがち!税務署からの電話で絶対にしてはいけないNG対応
突然の電話に動揺すると、つい不適切な対応をとってしまうことがあります。
しかし、税務署に対する不用意な言動や対応は、かえって状況を悪化させ、不利な結果を招きかねません。
ここでは、税務署からの電話連絡において、絶対に避けるべきNG対応を解説します。
これらのポイントを事前に知っておくことで、冷静かつ適切な判断ができるようになります。
電話を意図的に無視したり折り返しの連絡をしない
税務署からの電話や留守番電話を意図的に無視し、折り返しの連絡をしないのは最も避けるべき対応です。
誠実に対応する意思がないと判断され、税務署側の心証を著しく悪化させます。
その結果、本来であれば任意調査として穏便に進むはずだったものが、事前通知なしで突然調査官が訪れる「無予告調査」に切り替えられる可能性が高まります。
無予告調査は心理的プレッシャーが大きく、準備もできないため、非常に不利な状況に立たされます。
必ず誠実に対応してください。
曖昧な記憶のまま質問に答えてしまう
調査官からの質問に対し、帳簿や資料を確認せず、曖昧な記憶に基づいて答えることは非常に危険です。
その場しのぎの回答は、後から事実と異なることが判明した場合、虚偽の申告を疑われる原因になります。
電話での会話内容は調査官によって記録されており、後の調査で不利な証拠として利用される可能性も否定できません。
質問に対しては、「資料を確認してから正確にお答えしますので、折り返しご連絡します」と伝え、即答を避けるのが賢明です。
正当な理由なく税務調査自体を拒否する
税務調査は「任意調査」という名称ですが、法律に基づく正当な調査であるため、納税者には調査に協力する「受忍義務」があります。
したがって、「忙しいから」「面倒だから」といった正当な理由なく調査そのものを拒否することはできません。
調査を拒んだり、調査官の質問に答えなかったりした場合には、法律に基づき罰則が科される可能性もあります。
ただし、業務の都合が悪いなどの正当な理由があれば、日程の変更や調整を交渉することは可能です。
税務調査の連絡が来たら税理士への相談がおすすめな理由
税務調査の連絡を受けたら、速やかに税理士へ相談することが最善の策です。
税務の専門家である税理士に依頼することで、一人で対応する際に生じる様々なリスクや負担を大幅に軽減できます。
税務署との交渉から調査当日の立ち会い、事前の対策まで、専門的な知識と経験に基づいてトータルでサポートを受けることが可能です。
ここでは、税理士に相談する具体的なメリットを3つ紹介します。
税務署との連絡や日程調整をすべて任せられる
税理士に依頼すると、税務署との今後のやり取りをすべて代行してもらえます。
「税務代理権限証書」を税務署に提出することで、税理士が正式な代理人となり、調査官との連絡窓口となります。
これにより、納税者本人は精神的な負担から解放され、本業に集中できます。
また、税務調査の経験が豊富な税理士は、納税者側の準備期間を十分に確保できるよう、有利な条件で日程調整の交渉を進めてくれます。
調査当日に立ち会ってもらい不利な発言を防げる
税務調査当日、税理士が立ち会うことのメリットは絶大です。
調査官からの専門的で誘導的な質問に対し、納税者に代わって的確に回答・主張してくれます。
また、調査官の指摘が法的な根拠を欠いていたり、解釈が誤っていたりする場合には、その場で毅然と反論し、納税者の権利を守ります。
納税者本人が不利になるような発言をしてしまうリスクを防ぎ、精神的な支えとなることで、安心して調査に臨むことができます。
過去の申告内容の問題点を事前に洗い出せる
税理士に依頼すれば、調査当日までの限られた時間で、過去の申告内容を専門家の視点からレビューしてもらえます。
これにより、税務署から指摘される可能性が高い問題点を事前に特定し、対策を講じることが可能になります。
例えば、指摘に対して論理的な説明を用意したり、必要であれば調査前に修正申告を行ったりすることで、過少申告加算税が軽減される場合もあります。
事前準備の質が、税務調査の結果を大きく左右します。
税務調査の電話に関するよくある質問
ここでは、税務調査の電話に関して、多くの人が抱きがちな疑問について回答します。
個別の状況に応じた具体的な質問に答えることで、読者の不安をさらに解消します。
会社員(サラリーマン)なのに税務署から電話が来るのはなぜですか?
給与所得以外の所得(副業など)が年間20万円を超えているのに申告していない場合や、ふるさと納税のワンストップ特例の適用ミス、医療費控除や住宅ローン控除の計算誤りなどが考えられます。
最近ではフリマアプリでの収入やネットオークションでの売上なども対象となるため、心当たりがないか確認が必要です。
税務署からの留守番電話には折り返す必要がありますか?
はい、必ず折り返し連絡をしてください。
留守電や着信履歴を無視し続けると、税務署に非協力的な印象を与え、心証を損ないます。
その結果、事前通知なしの抜き打ち調査に移行するリスクが高まるため、できるだけ早くこちらから連絡を入れるのが賢明です。
不安な場合は、まず税理士に相談してから折り返しましょう。
税務調査は電話のやり取りだけで完了する場合もありますか?
はい、あります。
申告書の記載漏れや計算間違いなど、軽微な内容の確認であれば、電話での質疑応答や追加資料の郵送だけで完了することが多いです。
これは「行政指導」の一環であり、調査官が事業所に来る「実地調査」とは区別されます。
この段階で誠実に対応すれば、問題が大きくなることはほとんどありません。
まとめ
税務署から税務調査に関する電話があった場合、最も重要なのは、慌てて即答せずに冷静に対応することです。
その場で質問に答えたり日程を決めたりせず、まずは担当者の所属部署、氏名、連絡先を正確に聞き取ります。
そして、「税理士に相談して折り返します」と伝えて一度電話を切り、専門家に対応を相談するのが最善の流れです。
電話を無視したり、調査を正当な理由なく拒否したりすることは、状況を悪化させるため絶対に避けるべきです。


