学生であっても、アルバイトの掛け持ちや副業で一定の収入がある場合、確定申告が必要になることがあります。
特にバイトを掛け持ちしている場合、税金の計算が複雑になりがちです。
この記事では、学生が確定申告をすべきケースや、年収130万円まで所得税が非課税になる「勤労学生控除」の条件、具体的な書き方を解説します。
申告に必要な書類や手順を理解し、適切に手続きを進めましょう。
そもそも学生の確定申告とは?年末調整との違いも解説
確定申告とは、1年間の所得とそれにかかる税金を自分で計算し、国(税務署)に報告・納税する手続きのことです。
一方、年末調整は、アルバイト先が従業員に代わって給与から天引きした所得税の過不足を精算する手続きを指します。
初めてアルバイトをする学生には違いが分かりにくいかもしれませんが、通常は1ヶ所の勤務先で年末調整が済んでいれば、確定申告は不要です。
しかし、掛け持ちをしている場合など、年末調整の対象外となるケースでは自分で確定申告を行う必要があります。
【簡単チェック】学生で確定申告が必要・不要なケース一覧
自分が確定申告の対象となるか判断に迷う学生も多いでしょう。
確定申告が「必要な場合」と「不要な場合」には、それぞれ明確な基準があります。
アルバイトの状況や収入額によって、必要な人と不要な人に分かれます。
まずは、自分がどちらのケースに当てはまるか、以下の具体的な条件を確認してみましょう。
確定申告が【必要】になる4つのケース
確定申告をする必要があるのは、主に以下の4つのケースです。
これらのいずれかの条件に当てはまる場合は、申告期間内に手続きを行う必要があります。
自分が該当するかどうか、一つずつ確認していきましょう。
ケース1:バイトを2ヶ所以上掛け持ちしている
年末調整は主たる給与を受け取っている1ヶ所の勤務先でしか行えません。
そのため、2ヶ所以上で掛け持ちバイトをしており、すべての給与収入の合計が年間103万円を超える場合、自分で確定申告をして正確な所得税額を計算し直す必要があります。
掛け持ちしているアルバイト収入を合算して申告してください。
ケース2:アルバイト以外の副業所得が年間20万円を超えている
アルバイト給与とは別に、個人で収入を得る副業の「所得」が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。
所得とは、UberEatsの配達報酬やYoutuberとしての広告収入、クラウドソーシング、ハンドメイド作品の売上などから、交通費や通信費といった必要経費を差し引いた金額を指します。
フリーランスや個人事業主として活動する様々な職業がこれに該当します。
ケース3:アルバイト先で年末調整を受けていない
年の途中でアルバイトを辞めたため年末調整を受けられなかった場合や、勤務先の都合で年末調整が行われなかった場合は、自身で確定申告を行う必要があります。
年末調整が未済の場合、本来納めるべき税額より多く源泉徴収されている可能性があり、確定申告によって払いすぎた税金が戻ってくることがあります。
ケース4:年収が103万円を超え「勤労学生控除」を利用する
アルバイトの年収が103万円を超えると通常は所得税の課税対象となりますが、「勤労学生控除」という制度を利用することで年収130万円まで非課税にできます。
この勤労学生控除の適用を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
ただし、控除の利用には合計所得金額が75万円以下であることなど、いくつかの条件を満たさなければなりません。
確定申告が【不要】なケース
必ずしもすべての学生が確定申告をしなければならないわけではありません。
ここでは、確定申告をしなくてもよい、つまり申告が不要となる代表的なケースを解説します。
多くの場合、これらの条件に当てはまれば特別な手続きは発生しません。
1ヶ所のバイト先で年末調整が完了しており、副業所得がない
アルバイト先が1ヶ所のみで、その勤務先で年末調整の手続きが完了している場合は、原則として確定申告は不要です。
給与から天引きされた所得税の精算が会社側で済んでいるため、自分で申告する必要はありません。
また、副業による所得があったとしても、その金額が年間20万円以下であれば申告は不要となります。
すべてのアルバイトの年収合計が103万円以下
年収がいくらから確定申告が必要になるかの一つの目安は103万円です。
たとえアルバイトを掛け持ちしていたとしても、年間の給与収入の合計額が103万円以下であれば所得税は課税されません。
そのため、源泉徴収もされていなければ確定申告は原則として不要です。
確定申告をすると税金が戻ってくる?還付申告でお得になる学生とは
確定申告は納税義務を果たすだけでなく、払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」というメリットもあります。
特に、アルバイト代から所得税が天引きされている学生は、確定申告をすることで還付金としてお金が戻ってくる可能性があります。
義務ではなく、権利として申告でお得になるケースを理解しておきましょう。
バイト代から所得税が天引き(源泉徴収)されている場合
毎月のアルバイト代が88,000円以上になると、所得税が給与から天引きされることがあります。
しかし、年間の収入合計が103万円以下の場合、最終的に所得税はかかりません。
そのため、源泉徴収された税金は払いすぎの状態にあり、確定申告を行うことで、納めすぎた所得税の全額が戻ってきます。
年の途中でアルバイトを辞めた場合
年の途中でアルバイトを辞め、年末調整を受けていない場合、所得税が天引きされたままになっている可能性があります。
このケースでも、年収が103万円以下であれば、確定申告をすることで払いすぎた税金を取り戻せます。
還付申告を忘れた場合でも、過去5年間にさかのぼって申告が可能です。
スマホで完結!学生の確定申告のやり方を5ステップで解説
確定申告のやり方は、一見難しそうに思えますが、現在はスマホとマイナンバーカードがあれば自宅で手続きを完結できます。
国税庁の公式サイト「確定申告書等作成コーナー」を利用するこの方法は、ネット経由で申告できるe-Taxシステムに対応しており、税務署に行く必要がありません。
ここでは、スマホでの具体的な申告方法を5つのステップに分けて解説します。
ステップ1:申告に必要な書類を準備する
確定申告をスムーズに進めるためには、事前の準備が重要です。
申告手続きを始める前に、必要なものをあらかじめ手元に揃えておきましょう。
特に、収入を証明する書類や本人確認書類は必須です。
ここで紹介する書類を確認し、不備がないかチェックしてください。
必ず必要なもの:源泉徴収票とマイナンバーカード
申告には、すべてのアルバイト先から交付される「源泉徴収票」が必ず必要です。
これは1年間の給与額と源源徴収された税額が記載された書類で、通常12月から1月にかけて配布されます。
また、e-Taxでの電子申告には、本人確認書類として「マイナンバーカード」も必須となります。
もし源泉徴収票を紛失した場合は、勤務先に再発行を依頼しましょう。
該当する場合に必要なもの:各種控除証明書
所得控除を利用して節税したい場合は、それを証明する書類が必要です。
例えば、年間の医療費が10万円を超えた場合に適用される医療費控除には、医療費の領収書や医療費通知書といった控除証明書が求められます。
ほかにも、国民年金保険料や生命保険料の控除証明書など、自分が利用したい控除に関連する書類を準備してください。
ステップ2:国税庁のサイトで確定申告書を作成する
必要書類が揃ったら、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、申告書の作成を始めます。
サイトの指示に従い、「作成開始」ボタンから進みましょう。
収入の種類や金額、住所、氏名などの個人情報を入力していきます。
スマホのカメラで源泉徴収票を読み取る機能を使えば、入力の手間を大幅に省けて便利です。
ステップ3:「勤労学生控除」の具体的な入力方法
勤労学生控除を適用するには、確定申告書への正しい入力が必要です。
国税庁のサイトで作成する場合、所得や控除に関する質問項目の中に「勤労学生控除を受けますか」といった問いがあるので「はい」を選択します。
これにより、控除額27万円が自動で計算され、申告書の該当欄(第一表の「勤労学生控除」欄、第二表の「本人に関する事項」の「勤労学生」)に反映されます。
ステップ4:作成した申告書をe-Taxで電子提出する
申告書のすべての項目を入力し終えたら、内容に間違いがないか最終確認を行います。
問題がなければ、e-Tax(電子申告)を利用してデータを送信します。
提出時にはマイナンバーカードの情報をスマホで読み取り、本人認証を行います。
この手続きにより、税務署へ直接出向くことなく申告が完了します。
提出後、納税額が発生した場合は期限内に納付が必要です。
ステップ5:還付金を受け取るか納税する
確定申告書を提出後、最終的な計算結果に応じて手続きを行います。
算出された所得税額よりも源泉徴収された金額が多ければ、その差額が還付金として指定した銀行口座に振り込まれます。
逆に、納税が必要な金額が出た場合は、定められた期限内にクレジットカードやコンビニ払いなどの方法で納税を完了させます。
確定申告をしないとどうなる?知っておきたい注意点
確定申告の義務があるにもかかわらず、手続きをしなかった場合はどうなるのでしょうか。
申告を忘れた場合や意図的にしなかった場合、ペナルティが課されるだけでなく、親の税金負担に影響が及ぶ可能性もあります。
知らなかったでは済まされない注意点を事前に確認しておきましょう。
【親への影響】年収103万円・130万円の壁と扶養の関係
学生の年収が103万円を超えると、親が適用を受けている扶養控除(所得税の控除)の対象から外れます。
これにより親の税負担が増えるため、事前に家族と相談しておくことが重要です。
また、年収が130万円を超えると社会保険の扶養からも外れ、自分で国民健康保険料などを支払う必要が生じます。
扶養内で働きたい場合は、基礎控除額48万円を含むこれらの「壁」を意識した働き方が求められます。
【ペナルティ】申告漏れには無申告加算税などの罰則がある
納税義務があるにもかかわらず確定申告を期限内にしなかった場合、ペナルティとして「無申告加算税」が課されます。
これは、本来納めるべき税額に対して一定の割合で加算されるものです。
さらに、納付が遅れた日数に応じて「延滞税」も発生します。
申告忘れに気づいたら、できるだけ早く自主的に申告することが重要です。
学生の確定申告に関するよくある質問
ここでは、学生が確定申告を行う際によく疑問に思う点や、つまずきやすいポイントについてQ&A形式で解説します。
具体的なケースに関する回答を参考に、自身の状況と照らし合わせてみてください。
もし、ここで解決しない悩みがあれば、管轄の税務署へ相談することも一つの方法です。
Q. バイトを辞めたのに源泉徴収票がもらえません。どうすればいいですか?
勤務先には源泉徴収票を発行する法律上の義務があるため、まずはアルバイト先に連絡し、発行を再度依頼してください。
もし応じてもらえない場合は、お近くの税務署に相談し、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで、税務署から勤務先へ発行を促す指導が行われます。
Q. 確定申告の期間はいつからいつまでですか?過ぎた場合はどうなりますか?
所得税の確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までの1ヶ月間です。
次回の2026年(令和8年)分の所得に関する申告は、2027年(令和9年)のこの期間に行うことになります。
期限に遅れた場合、無申告加算税などのペナルティが課されることがあります。
ただし、税金が戻ってくる還付申告の場合は、翌年1月1日から5年間、いつでも申告が可能です。
Q. Uber Eatsなどの配達収入はどうやって申告すればいいですか?
UberEatsなどの配達で得た収入は、原則として「雑所得」または「事業所得」として申告します。
収入から配達にかかった経費(車両のガソリン代、スマートフォンの通信費など)を差し引いた所得が年間20万円を超える場合に確定申告が必要です。
開業届を提出し、事業所得として青色申告を行うと、特別な控除が受けられるため節税につながります。
まとめ
学生であっても、アルバイトの掛け持ちで年収が103万円を超えたり、副業所得が20万円を超えたりした場合には確定申告が必要です。
年収103万円を超えても勤労学生控除を利用すれば130万円まで非課税となりますが、その適用を受けるためには確定申告が必須です。
申告義務を怠るとペナルティが発生するほか、親の扶養にも影響が出る可能性があります。
なお、所得税の納税が不要な場合でも、年収額によっては住民税の申告が必要になるケースがあるため注意しましょう。


