仕事上の付き合いで贈り物をした際、適切な勘定科目や仕訳の方法に迷うケースは少なくありません。
贈答品とは事業に関連して相手へ渡す品物を指しており、条件を満たせば法人の経費として処理できます。
相手別の会計処理や、贈答品はいくらまで経費にできるのかという疑問に対し、実務で役立つ基準を把握しておく必要があります。
そもそも贈答品は経費として認められるのか?
事業活動の一環として購入した品物は、原則として会社の経費に含めることができます。
ただし、すべての贈り物が無条件で認められるわけではなく、明確な基準が存在します。
経費として計上するための判断基準には、明確な線引きが設けられています。
事業の売上につながる贈答品は経費計上が可能
取引先との関係構築や維持を目的とした贈り物は、事業の売上に貢献する支出とみなされるため、経費としての計上が可能です。
お中元やお歳暮、手土産などの品物がこれに該当し、適切に処理することで法人の利益を圧縮し、適正な節税対策として機能します。
税務署に説明を求められた際、その支出がどのように事業へ結びついているかを客観的に示せることが求められます。
単なる個人的な好意ではなく、業務上の必要性があることを証明できる状態にしておく必要があります。
事業と無関係な個人的な贈り物は経費の対象外
経営者や従業員の個人的な趣味による贈り物は、事業との関連性が証明できないため経費として認められません。
例えば、友人や家族へプレゼントするために購入したアクセサリーや服などは、完全な私的支出と判断されます。
万が一このような私費を会社の経費に含めた場合、税務調査において役員賞与として扱われ、法人の税金だけでなく個人の所得税も追加で課税されるリスクが生じます。
公私の区別を厳密に行い、業務に関係のない出費を排除する仕組みを構築します。
【贈る相手別】贈答品の仕訳に使う3つの勘定科目
経理処理を行う際、誰に向けて贈ったかによって使用する勘定科目が異なります。
適切な項目に振り分けることで、正確な財務状態の把握が可能です。
ここでは、代表的な3つの分類に分けて経理処理を実施します。
取引先など特定の人へ贈る場合は「接待交際費」
特定の取引先や顧客に対してお中元や手土産を渡す場合、一般的な仕訳では接待交際費を使用します。
事業を円滑に進めるための関係維持を目的とした支出は、原則としてこの交際費に当てはまります。
具体的な処理方法として、借方に接待交際費、貸方に現金や普通預金などを記載して記録します。
飲食費とは異なり、贈答品の場合は1人あたりの金額基準による除外規定がないため、支出した全額が交際費等の枠に含まれる点に留意し、慎重な経理処理を進めなければなりません。
社名入りカレンダーなど不特定多数へ配る場合は「広告宣伝費」
自社の名前やロゴが入ったカレンダー、手帳、ボールペンなどのノベルティグッズを不特定多数の人に配布する場合は、広告宣伝費として処理します。
これらは自社のサービスを広く周知する名目で作成されており、特定の個人を対象とした接待目的ではないと判断されるためです。
単価が少額であり、かつ販促効果を狙った物品であることが条件となります。
接待交際費と比較して損金算入の制限を受けないため、要件を満たしているか慎重に確認して仕訳を行います。
社内の従業員へ記念品などを贈る場合は「福利厚生費」
自社の従業員に対して、創業記念の品物や結婚・出産時の祝い金を支給するケースでは、福利厚生費の勘定科目を使用します。
ただし、特定の役員や一部の従業員だけを対象にするのではなく、社内規定に基づき全従業員が平等に受け取れる基準を設けていることが必須条件です。
支給する品物の金額が高額すぎたり、現金や商品券といった換金しやすいものを渡したりすると、給与として扱われ源泉徴収の対象となる可能性があるため、常識的な範囲内に収める配慮が求められます。
贈答品はいくらまで経費にできる?法人における損金算入の限度額
会社が支出した贈答品の金額が全額経費として認められるかどうかは、事業の規模によって異なります。
税務上でいくらまで損金として扱えるのか、法人が知っておくべき上限のルールや妥当な金額の目安を把握しておくことが求められます。
資本金1億円以下の中小法人は年間800万円が上限
税法上の特例により、期末の資本金が1億円以下の中小法人においては、接待交際費として支出した金額のうち年間800万円までを全額損金として算入できます。
事業に関連する手土産やお歳暮の購入費もこの枠内に含まれるため、年間の総額が800万円を超過しない限り、税務上の負担が増えることはありません。
一方、資本金が1億円を超える大企業の場合、贈答品にかかる交際費は原則として全額損金不算入となり、経費として税金を減らす効果が得られないという明確な違いが存在します。
社会通念上、高額すぎない常識の範囲内の金額にすること
年間限度額の範囲内であっても、1回あたりの購入費用が社会通念上妥当とみなされる金額であることが求められます。
明確な法律上の規定はないものの、一般的な取引先への手土産や季節の挨拶であれば、数千円から1万円程度が適正な目安とされています。
就任祝いや特別な祝賀行事などで3万円から5万円程度の品を贈るケースもありますが、不必要に高額な美術品や高級時計などは、事業との関連性を疑われる要因になり得ます。
取引規模に釣り合う支出を心がける必要があります。
税務調査で否認されない!贈答品を経費にする際の4つの注意点
税務調査が実施された際、経理処理の客観的な根拠が不十分だと経費計上を否認されるリスクが高まります。
実務上で特に気をつけるべき4つのポイントを押さえておく必要があります。
誰に・何の目的で贈ったのかを記録として残しておく
購入した品物が私的な利用ではないことを証明するため、贈り先の詳細な情報を記録しておく作業が欠かせません。
贈った相手の会社名や部署、氏名、事業上の関係性、および品物を渡した目的や日付を、帳簿や経費精算書の備考欄へ正確に記載します。
これらの記録がないと、税務署から役員個人の支出とみなされるおそれがあります。
記憶が曖昧になる前に、支出が発生した段階で速やかに情報を書き留める運用ルールを社内で徹底することが不可欠です。
領収書や送り状は必ず保管する
支払いの事実を客観的に証明するため、店舗が発行した領収書やレシートを確実に保存しておかなければなりません。
あわせて、品物を配送した際の送り状や宅配伝票の控えも一緒に保管しておくと、間違いなく相手へ贈答したことの強力な証拠として機能します。
宛名が空欄のものや「品代」とだけ書かれた明細の不明確な書類は、用途を疑われる原因となります。
購入した商品名や数量が明確に記載された書類を取得し、法定期間にわたり厳重に管理する体制を整えます。
商品券やギフトカードなど換金性の高い品物は避けるべき
ビール券や商品券、プリペイドカードといった換金しやすい物品を贈ることは、極力避けるのが無難です。
これらの品物は用途が限定されないため、購入後に第三者へ転売して現金化したり、役員が個人的な支払いに流用したりする不正リスクが高いと判断されやすくなります。
実際に取引先へ渡した事実があっても、税務調査で使途を厳しく追及される傾向にあります。
トラブルを未然に防ぐためにも、お菓子や飲料、自社製品などの具体的な物品を選ぶようにします。
購入した贈答品を自分で消費した場合は経費にできない
取引先に渡す目的で購入したものの、予定がキャンセルになり社内で消費した場合は、接待交際費としての計上が認められなくなります。
法人の事業活動と無関係な支出に該当するためです。
役員が自分で消費した場合は役員に対する給与とみなされ、源泉所得税の問題に発展するリスクも伴います。
余ってしまった品物の取り扱いには十分に注意し、私的に利用した分については経費から除外して自己負担で清算する手続きを講じます。
贈答品の経費計上に関するよくある質問
企業の経理や税務の実務を担当する際、贈答品の扱いについて担当者が疑問を抱きやすい代表的な項目をピックアップしてまとめました。
具体的な事例をもとにして、正しい処理方法と判断基準について簡潔にお答えします。
お中元やお歳暮を経費にする際の勘定科目は何ですか?
取引先へ贈るお歳暮や訪問時のお土産として購入したお菓子などは「接待交際費」の勘定科目を使用します。
事業の円滑な進行を目的とするため、全額を交際費として処理するのが適切な方法です。
個人事業主でも贈答品を経費にできますか?
個人事業主も、事業に関連する相手への贈り物であれば経費として確定申告の際に計上可能です。
個人事業における接待交際費には法人と異なり上限額の規定がないため、妥当な範囲内であれば全額を含められます。
取引先へのご祝儀や香典も経費として認められますか?
事業と関係の深い取引先の慶弔行事に対して支払うご祝儀や香典は、接待交際費として経費に認められます。
領収書が発行されないため、案内状の保管や出金伝票への記録によって事実を証明できるようにします。
まとめ
取引先や従業員へ贈る品物を正しく経費として処理するためには、目的に合わせた勘定科目の選択と限度額の把握が欠かせません。
私的な支出と疑われないよう、購入時の領収書とともに、いつ誰にどのような理由で渡したのかを正確に記録しておく運用が求められます。
最新のスケジュールや「2027年の期限と注意点」を確認し、曖昧な処理を避けることで、企業の適正な財務管理を実現する基礎が築かれます。


