個人事業を始めたときに提出する「開業届」。いざ書こうとすると、 「職業は何と書く?」 「開業日はいつにする?」 「事業の概要はどこまで書けばいい?」 と迷いやすい書類です。
この記事では、国税庁の実際の「個人事業の開業・廃業等届出書」を使い、記入例とあわせて書き方を解説します。
まずここだけ確認
提出期限:2026年1月1日以後の開業は、開業した年分の所得税の確定申告期限まで
提出先:原則として納税地を所轄する税務署
提出方法:e-Tax・税務署への持参・郵送
青色申告:開業届とは別に期限内の申請が必要
なお、2026年1月1日以後に開業し、従業員などへ給与を支払う場合は、 給与支払事務所等の開設届出書 についても確認しておきましょう。
開業後の 確定申告の基本や期限 についても、開業届とは別に確認が必要です。
開業届の完成見本
どこに何を書くのか全体像を確認してみましょう。
赤い①〜⑬は、この後の解説と対応しています。

出典:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書」を使用。
開業届の書き方|①〜⑬を順番に確認
| 番号 | 項目 | 書き方・ポイント |
|---|---|---|
| ① | 提出先税務署・提出日 | 納税地を管轄する税務署名と、実際の提出日を記入します。 |
| ② | 納税地 | 通常は住所地を記入します。郵便番号・住所・電話番号も記載します。 |
| ③ | 上記以外の住所地・事業所等 | 納税地とは別に店舗・事務所などがある場合に記入します。なければ通常は空欄です。 |
| ④ | 氏名・生年月日・個人番号 | 氏名、生年月日、12桁のマイナンバーを記入します。 |
| ⑤ | 職業 | 「Webデザイナー」「システムエンジニア」「内装工事業」など仕事内容が分かる名称を記入します。 |
| ⑥ | 屋号 | 屋号があれば記入します。屋号を決めていない場合は空欄でも提出できます。 |
| ⑦ | 届出の区分 | 新しく事業を始める場合は「開業」に該当する番号を記入します。 |
| ⑧ | 所得の種類 | 事業所得・不動産所得・山林所得など、実際の事業内容に応じた項目を選びます。 |
| ⑨ | 開業・廃業等日 | 店舗の営業開始日や、継続的にサービス提供を始めた日など、実際に事業を開始した日を記入します。 |
| ⑩ | 事業所等の新設・移転等 | 通常の新規開業で該当しなければ記入不要です。新設・増設・移転などの場合に使用します。 |
| ⑪ | 関連届出書の提出有無 | 青色申告承認申請書や消費税関係の届出書について、該当する「有・無」を確認します。 |
| ⑫ | 事業の概要 | 仕事内容を具体的に記入します。例:「中小企業向けWebサイトの企画・デザイン・制作・保守」 |
| ⑬ | 給与等の支払の状況 | 家族の専従者や従業員へ給与を支払う場合に、人数・給与の定め方などを記入します。 |
マイナンバーを記載して書面提出する場合
本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。e-Taxで提出する場合は、本人確認書類の提示・写しの添付は不要です。
2026年1月1日以後に開業した場合は、開業した年分の所得税の確定申告期限までに提出します。
以前の「開業から1か月以内」という期限から変更されているため、古い記事や解説を見る場合は注意してください。
青色申告の期限は別です
青色申告
を希望する場合、青色申告承認申請書は原則3月15日まで、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内です。開業届の期限まで待たないよう注意してください。
具体的な書き方や提出期限は、 青色申告承認申請書の書き方・記入例 で詳しく解説しています。
開業届の提出方法
| 提出方法 | ポイント |
|---|---|
| e-Tax | パソコンのe-Taxソフトから作成・提出できます。本人確認書類の写しは不要です。 |
| 税務署へ持参 | 納税地を管轄する税務署へ書面で提出します。 |
| 郵送 | 書面で郵送できます。2025年1月以降、控えへの収受日付印は行われていません。 |
提出したことを確認しやすいのはe-Tax
e-Taxで送信すると、メッセージボックスの受信通知から受付番号・受付日時などを確認できます。
開業届と一緒に確認したい手続き
| こんな場合 | 確認する書類 |
|---|---|
| 青色申告をしたい | 所得税の青色申告承認申請書 |
| 家族へ専従者給与を支払いたい | 青色事業専従者給与に関する届出書 |
| 従業員等へ給与を支払う | 給与支払事務所等の開設届出書 |
| インボイスを発行したい | 適格請求書発行事業者の登録申請書 |
開業届に関するよくある質問
Q. 開業届を出していなくても確定申告できますか?
はい。開業届と確定申告は別の手続きです。確定申告が必要な所得がある場合は、開業届の提出有無にかかわらず申告が必要です。
Q. 副業でも開業届を出しますか?
副業でも、その活動が事業所得を生ずべき事業に該当する場合は開業届の対象となります。副業であるだけで自動的に事業所得になるわけではありません。
Q. 屋号がなくても提出できますか?
はい。屋号は必須ではないため、決めていない場合は空欄で提出できます。
Q. 青色申告をするには開業届だけで大丈夫ですか?
いいえ。青色申告を利用するには、開業届とは別に「所得税の青色申告承認申請書」を期限内に提出する必要があります。
Q. 開業届はe-Taxで提出できますか?
はい。個人事業の開業・廃業等届出書はe-Taxによる電子提出に対応しています。
まとめ|開業届だけでなく、その後の申告手続きも確認しよう
開業届は、国税庁の様式を見ながら①〜⑬を順番に確認すれば、それほど難しい書類ではありません。
2026年1月1日以後に開業した場合は、開業した年分の所得税の確定申告期限までに提出します。ただし、青色申告や給与関係の届出は期限が別なので、開業届だけを見て手続きを後回しにしないよう注意しましょう。
開業後に必要になる税金や手続きをまとめて確認したい方は、 タクバツの税金ガイド もご覧ください。
参考:国税庁の公式情報
本記事は2026年8月時点の法令および国税庁・e-Tax公表情報をもとに作成しています。


