青色申告とは?メリット・デメリット、白色申告との違いをわかりやすく解説

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青色申告とは、日々の取引を所定の帳簿に記録し、その記録に基づいて確定申告を行うことで、税制上のさまざまな優遇を受けられる制度です。
青色申告のメリットには最大65万円の特別控除などがあり、大きな節税効果が期待できます。

この記事では、青色申告とは何かという基本的な問いに答えながら、白色申告との違いや具体的なやり方について、初心者にもわかりやすく解説します。

  1. 青色申告とは、一定の基準で帳簿を記録し税務署へ申告することで、税制上の優遇措置を受けられる制度です
  2. 青色申告と白色申告の主な違いを一覧で比較
  3. 青色申告で得られる5つの大きな節税メリット
    1. 最大の特典!最大65万円の青色申告特別控除
    2. 家族への給与を全額経費にできる青色事業専従者給与
    3. 事業の赤字を翌年以降3年間繰り越せる純損失の繰越控除
    4. 30万円未満の備品などを一括で経費計上できる少額減価償却資産の特例
    5. 回収不能な売掛金に備える貸倒引当金の設定
  4. 青色申告を始める前に知っておきたい2つの注意点
    1. 期限までに「青色申告承認申請書」の提出が必須
    2. 最大65万円控除を受けるには複式簿記での記帳が必要
  5. 青色申告はどんな人におすすめ?対象となる所得の種類
  6. 青色申告を始めるための具体的な4つのステップ
    1. ステップ1:開業届と青色申告承認申請書を税務署へ提出する
    2. ステップ2:日々の取引を複式簿記で記帳する
    3. ステップ3:確定申告時期に青色申告決算書と確定申告書を作成する
    4. ステップ4:作成した書類を期限内にe-Taxなどで提出して完了
  7. 青色申告に関するよくある質問
    1. Q1. 副業の所得が少ない場合でも青色申告はできますか?
    2. Q2. 青色申告の申請期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
    3. Q3. 簿記の知識が全くなくても青色申告は可能ですか?
  8. まとめ

青色申告とは、一定の基準で帳簿を記録し税務署へ申告することで、税制上の優遇措置を受けられる制度です

青色申告制度の目的は、納税者が正規の簿記の原則に従って正確な帳簿を作成し、それに基づいて所得を申告することを推奨することにあります。
この制度を利用する納税者は、日々の取引内容を帳簿に記録し、その結果を確定申告書に添付して税務署へ提出します。
正確な記帳と申告を行うことで、国は所得税の計算を適正に行うことができ、その見返りとして納税者にさまざまな税制上の特典を与えています。

青色申告と白色申告の主な違いを一覧で比較

個人事業主の確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。
白色申告とは、青色申告の承認を受けていない人が行う申告方法で、以前は帳簿付けが簡易的でしたが、現在では記帳と帳簿類の保存が義務化されています。
両者の大きな違いは、まず事前の申請の有無です。

青色申告は税務署への事前申請が必要ですが、白色申告は不要です。
記帳方法は、青色申告が原則として複式簿記、白色申告は簡易な単式簿記で良いとされています。
この記帳方法の違いが、受けられる控除額や特典の差に直結します。

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青色申告で得られる5つの大きな節税メリット

青色申告を選択すると、税金の計算上有利になる多くのメリットを受けられます。
これらの特典を活用することで、課税対象となる所得を抑え、結果的に納める税金を少なくすることが可能です。
例えば、収入から経費を差し引いた利益(所得)から、さらに大きな金額を控除できるため、節税効果は非常に高くなります。

これから、代表的な5つのメリットを具体的に紹介します。

最大の特典!最大65万円の青色申告特別控除

青色申告の最大のメリットは、所得金額から最大65万円を控除できる青色申告特別控除です。
この控除額は、満たすべき要件によって65万円、55万円、10万円の3段階に分かれています。
最高額である65万円控除を受けるには、複式簿記での記帳に加え、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行う必要があります。

複式簿記で記帳し、期限内に申告書を提出すれば55万円の控除が、単式簿記など簡易な記帳の場合は10万円の控除が受けられます。
この特別控除は、すべての納税者が受けられる基礎控除とは別に適用されます。

家族への給与を全額経費にできる青色事業専従者給与

青色申告では、生計を同一にする配偶者や15歳以上の親族に支払う給与を「青色事業専従者給与」として、全額必要経費に算入できます。
事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出し、仕事内容に見合った適正な金額であることが条件です。
白色申告の場合、事業専従者控除として配偶者は最高86万円、その他の親族は最高50万円までしか控除が認められないため、家族に事業を手伝ってもらっている場合、青色申告は大きな節税につながります。

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事業の赤字を翌年以降3年間繰り越せる純損失の繰越控除

事業年度が赤字となった場合、その損失額(純損失)を翌年以降最大3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺できる制度です。
例えば、1年目に100万円の赤字が出て、2年目に150万円の黒字が出た場合、赤字を繰り越すことで2年目の所得を50万円に圧縮し、所得税を軽減できます。
この制度は事業開始直後など、収入が安定しない期間に特に有効です。

損失の繰り越しが可能な期間は3年間であり、4年目以降に持ち越すことはできません。

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30万円未満の備品などを一括で経費計上できる少額減価償却資産の特例

通常、パソコンや机など、取得価額が10万円以上の資産は固定資産として計上し、数年に分けて減価償却を行う必要があります。
しかし、青色申告者には少額減価償却資産の特例があり、取得価額が30万円未満の償却資産であれば、購入した年に一括で全額を経費として計上できます。

この特例を利用することで、購入年の所得を大幅に圧縮することが可能です。
ただし、この特例が適用されるのは年間合計300万円までという上限金額が定められています。

回収不能な売掛金に備える貸倒引当金の設定

青色申告では、年末時点で保有している売掛金や貸付金などの債権に対し、将来発生するかもしれない貸し倒れ(回収不能)のリスクに備えるため、「貸倒引当金」を設定できます。
期末の債権残高の5.5%(金融業の場合は3.3%)を上限として、貸倒引当金繰入額として経費に計上することが可能です。

これにより、実際に損失が発生する前に経費を計上できるため、その年の課税所得を減らす効果があります。
この内容は、決算時に作成する貸借対照表にも記載されます。

青色申告を始める前に知っておきたい2つの注意点

青色申告には大きな節税メリットがありますが、いくつかの注意点も存在します。
特に、正規の簿記の原則に従った記帳が求められるため、白色申告に比べて帳簿付けに手間がかかる点が挙げられます。

また、定められた手続きを踏まないと青色申告自体が認められなかったり、不正が発覚した場合には承認が取り消されたりすることもあります。
無申告や期限後申告が続くと、青色申告の承認が取り消されるリスクもあるため注意が必要です。

期限までに「青色申告承認申請書」の提出が必須

青色申告を始めるには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を納税地の税務署長に提出し、承認を受ける必要があります。
この申請には提出期限が定められており、原則として、青色申告をしようとする年の3月15日までです。
新たに事業を開始した場合は、事業開始日から2ヶ月以内に提出します。

白色申告から青色申告へ変更する場合も同様に3月15日が期限となり、この期限を過ぎるとその年は白色申告となり、青色申告の適用は来年からになります。
いつまでに申請するかを事前に確認しておくことが重要です。

最大65万円控除を受けるには複式簿記での記帳が必要

青色申告の最大のメリットである最大65万円(または55万円)の特別控除を受けるには、正規の簿記の原則、すなわち複式簿記で記帳することが必須条件です。
複式簿記とは、一つの取引を借方と貸方の二つの側面から記録する方法で、貸借対照表と損益計算書を作成できる正確な記帳方法です。

単式簿記に比べて複雑なため、簿記の知識がない場合は難しく感じるかもしれません。
しかし、会計ソフトを利用すれば、簿記の詳しい書き方を知らなくても、指示に従って入力するだけで複式簿記の帳簿を作成できます。

青色申告はどんな人におすすめ?対象となる所得の種類

青色申告の対象となるのは、事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかの所得がある個人の方です。
具体的には、個人事業主やフリーランスとして事業を営む人が主な対象者です。
不動産賃貸による収入がある人や、農業を営む人も対象に含まれます。

会社員(サラリーマン)の副業であっても、その所得が事業所得や不動産所得に該当すれば青色申告が可能です。
所得金額がいくらからといった基準はなく、たとえ所得が300万円未満でも対象となります。
なお、法人の場合は法人税の申告で青色申告制度を利用しますが、個人の所得税とは異なります。

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青色申告を始めるための具体的な4つのステップ

青色申告をしたいけれど、何から手をつけて良いかわからないという方も多いかもしれません。
しかし、手順を追っていけば、初めての方でも決して難しくはありません。

青色申告をするには、まず書類の提出から始まり、日々の記帳、決算書の作成、そして申告という流れになります。
ここでは、青色申告を簡単に始めるための具体的な4つのステップを、最初から順番に解説していきます。

ステップ1:開業届と青色申告承認申請書を税務署へ提出する

青色申告を始めるための最初のステップは、税務署への書類提出です。
新たに事業を始める場合は「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」と「所得税の青色申告承認申請書」の2つの必要書類を、納税地を管轄する税務署に提出します。

これらの書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
提出方法は、税務署の窓口へ直接持参するほか、郵送やe-Taxによる電子申請も可能です。

ステップ2:日々の取引を複式簿記で記帳する

青色申告の承認を受けたら、日々の取引を帳簿に記録していきます。
最大65万円の控除を目指す場合は、複式簿記での記帳が必要です。
売上や仕入れ、経費の支払いなど、お金の動きがあった際は、レシートや領収書、クレジットカードの明細などを元に仕訳を行います。

手書きでの記帳は非常に手間がかかるため、クラウド型の会計ソフトやサービスを利用するのが一般的です。
これらのサービスを使えば、ネットバンキングやクレジットの取引データを自動で取り込み、記帳を効率化できます。

ステップ3:確定申告時期に青色申告決算書と確定申告書を作成する

1月1日から12月31日までの1年間の記帳が完了したら、その内容をまとめた決算書を作成します。
青色申告では、「青色申告決算書」と「確定申告書」の2種類を作成する必要があります。
青色申告決算書は、1年間の経営成績を示す損益計算書(1〜3ページ目)と、年末時点での財産状況を示す貸借対照表(4ページ目)で構成されています。

会計ソフトを利用していれば、日々の入力データからこれらの書類は自動で作成されます。

【あわせて読みたい:必要書類一覧】
決算書や申告書以外にも必要な書類があるか、個人事業主・副業別にチェックリストで確認しておきましょう。
確定申告に必要な書類一覧【個人事業主・副業別】

ステップ4:作成した書類を期限内にe-Taxなどで提出して完了

青色申告決算書と確定申告書が完成したら、税務署に提出します。
確定申告の期間は、原則として所得があった年の翌年2月16日から3月15日までです。

この期限内に提出しないと、青色申告特別控除の金額が減額されたり、無申告加算税などのペナルティが課されたりする場合があります。
提出方法は、税務署への持参や郵送のほか、e-Taxによる電子申告があります。
e-Taxを利用すれば、自宅から申告が完了し、最大65万円控除の要件も満たせます。

青色申告に関するよくある質問

ここでは、青色申告に関して多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式で解説します。
例えば、インボイス制度との関連性や、具体的な手続きでつまずきやすいポイントなど、よくある質問を取り上げます。

Q1. 副業の所得が少ない場合でも青色申告はできますか?

はい、所得金額の大小にかかわらず青色申告は可能です。
事業所得、不動産所得、山林所得のいずれかに該当すれば、所得が0円や赤字の場合でも青色申告の申請ができます。

所得が赤字の場合には、純損失の繰越控除を利用して翌年以降の黒字と相殺できるメリットがあるため、所得が少ない、あるいは赤字の年から青色申告を始めることも有効です。

Q2. 青色申告の申請期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?

その年の3月15日などの申請期限を過ぎてしまった場合、その年分の確定申告は自動的に白色申告となります。
青色申告の特典は受けられませんが、翌年分から青色申告への変更を希望する場合は、改めて翌年の期限までに青色申告承認申請書を提出すれば、翌年分から青色申告者になることが可能です。

Q3. 簿記の知識が全くなくても青色申告は可能ですか?

はい、簿記の知識が無くても青色申告は可能です。
現在では、多くの個人事業主が会計ソフトを利用して帳簿を作成しています。

これらのソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携して取引データを自動で取り込んだり、勘定科目を提案してくれたりする機能があり、簿記の知識がなくてもわかりやすい操作で複式簿記の帳簿が作成できるよう設計されています。

まとめ

青色申告は、事前の申請や複式簿記での記帳といった手間がかかる一方で、最大65万円の特別控除をはじめとする大きな節税メリットを受けられる制度です。
個人事業主にとって、納める税金を適正化し、手元に残る資金を増やすための有効な手段となります。
日々の記帳は会計ソフトを活用することで効率化でき、簿記の知識がない初心者でも十分に挑戦可能です。

本記事で解説した内容を参考に、青色申告の活用を検討してみてください。

この記事の執筆者
武信 隼人
武信 隼人
税理士事務所CUBE 代表税理士 / タクバツ監修

個人事業主・フリーランスの確定申告、無申告、税務調査対応に強みを持つ税理士。これまで多くの税務相談・申告対応を行ってきた実務経験をもとに、タクバツの記事監修を担当しています。専門性だけでなく、わかりやすさと安心感のある情報発信を大切にしています。

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