税務調査の対策|調査で指摘されないためのポイント

確定申告
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税務調査は、税務署が納税者の申告内容が正しいかを確認するために行う調査です。
法人に限らず個人の事業主も調査の対象となり、申告内容に誤りがあれば追徴課税などのペナルティが課される可能性があります。
対象になりやすい事業者には一定の特徴があるため、日頃から適切な会計処理と書類保管を徹底することが重要です。

万が一、税務調査の通知が来た場合でも、慌てず適切な対応ができるよう、調査の流れやポイントを理解しておくことが求められます。

  1. そもそも税務調査とは?任意調査と強制調査の違いを解説
  2. 【法人向け】税務調査の対象に選ばれやすい法人の8つの特徴
    1. 特徴1:売上や利益が急激に変動している
    2. 特徴2:同業他社と比較して利益率が異常に低い
    3. 特徴3:現金商売がメインの業種である
    4. 特徴4:海外取引や外貨取引を行っている
    5. 特徴5:消費税の還付申告を受けている
    6. 特徴6:過去に税務調査で指摘を受けたことがある
    7. 特徴7:長期間にわたり税務調査が実施されていない
    8. 特徴8:税理士の関与がなく自己申告を続けている
  3. 【個人事業主向け】税務調査に狙われやすい個人事業主の6つのケース
    1. ケース1:開業届や確定申告書を提出していない
    2. ケース2:売上が1,000万円前後の水準で推移している
    3. ケース3:売上に対して経費の割合が不自然に多い
    4. ケース4:申告内容に誤りが頻繁に見られる
    5. ケース5:不動産の売却など大きな資産の動きがあった
    6. ケース6:インフルエンサーなど新しい業態で事業を行っている
  4. 税務調査を回避するために日頃からできる4つの予防策
    1. 対策1:会計ソフトを導入し正確な帳簿を作成する
    2. 対策2:領収書や請求書などの証拠書類を整理・保管する
    3. 対策3:個人的な支出と事業経費を明確に区分する
    4. 対策4:税理士に顧問を依頼し申告書の質を高める
  5. 税務調査の事前通知から調査終了後までの流れと対応
    1. ステップ1:税務署からの事前通知と日程調整
    2. ステップ2:調査当日までに必要な書類を準備する
    3. ステップ3:調査当日の質疑応答への対応
    4. ステップ4:調査後の指摘事項への対応と修正申告
  6. 税務調査で特に厳しくチェックされる5つのポイント
    1. ポイント1:売上の計上漏れや計上時期のズレ
    2. ポイント2:架空の人件費や外注費の計上
    3. ポイント3:個人的な支出の事業経費への付け替え
    4. ポイント4:在庫の計上漏れや評価額の誤り
    5. ポイント5:交際費・福利厚生費の妥当性
  7. 申告漏れが発覚した場合に課される追徴課税の種類
    1. 過少申告加算税
    2. 無申告加算税
    3. 不納付加算税
    4. 重加算税
    5. 延滞税
  8. 税務調査の対応を税理士に依頼する3つのメリット
    1. メリット1:調査官とのやり取りをすべて任せられる
    2. メリット2:不利な指摘に対して法的な根拠をもって反論してくれる
    3. メリット3:修正申告が必要な場合の税額を最小限に抑えられる
  9. 税務調査の立ち会いを税理士に依頼した場合の費用相場
  10. 税務調査の対策に関するよくある質問
    1. Q. 税務調査の連絡はいつ頃来ますか?
    2. Q. 調査官の質問にはすべて答える必要がありますか?
    3. Q. 調査期間は通常どれくらいかかりますか?
  11. まとめ

そもそも税務調査とは?任意調査と強制調査の違いを解説

税務調査は、納税者が提出した確定申告書の内容に誤りがないか、税務署が帳簿などの関係書類を確認する手続きです。
なぜ調査が行われるかというと、自己申告制度の公平性を保ち、適正な納税を促すためです。
調査には「任意調査」と「強制調査」の2種類がありますが、ほとんどの調査は任意で行われます。

任意とはいえ、調査を正当な理由なく拒否することはできません。
一方、強制調査は裁判所の令状に基づき、悪質で大規模な脱税が疑われる場合に国税局査察部(マルサ)によって行われるものです。

【法人向け】税務調査の対象に選ばれやすい法人の8つの特徴

税務署は、限られた人員で効率的に調査を行うため、申告漏れや不正が見込まれる法人を優先的に調査の対象として選定します。
そのため、税務調査に入られやすい企業にはいくつかの共通した特徴が見られます。
これらの特徴を理解することは、自社の税務リスクを把握し、事前に対策を講じる上で役立ちます。

具体的にどのような法人が調査対象に選ばれやすいのか、以下で8つの特徴を解説します。

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特徴1:売上や利益が急激に変動している

売上や利益前年と比較して急激に増加または減少している法人は、税務署の注目を集めやすくなります。
特に、売上が大幅に伸びているにもかかわらず利益が比例して増加していない場合、売上除外や経費の水増しが疑われる可能性があります。

逆に、業績が好調な業界にもかかわらず、自社だけが赤字を計上しているといったケースも不自然と判断されます。
勘定科目に大きな変更があった場合も、その理由を合理的に説明できるよう準備しておく必要があります。

特徴2:同業他社と比較して利益率が異常に低い

税務署は、業種ごとの平均的な利益率や原価率といったデータを保有しており、これを「KSL(国税庁事業年報)」などの統計情報として分析に活用しています。
自社の申告内容が、この統計データとかけ離れて利益率が異常に低い場合、税務署は「売上を一部隠しているか、経費を過大に計上しているのではないか」という疑念を持ちます。
特に明確な理由なく利益率が低い状態が続いていると、調査対象に選定される可能性が高まります。

特徴3:現金商売がメインの業種である

飲食店、小売店、理美容室、建設業など、現金での取引が中心となる業種は、銀行振込などの記録が残りにくく、売上をごまかしやすいと見なされがちです。
取引の客観的な証拠が少ないため、売上の計上漏れが発生するリスクが高いと判断され、税務調査の対象に選ばれやすくなります。
税務署は、こうした業種に対しては特に注意を払っており、レジの記録や日々の売上管理が適切に行われているかを厳しくチェックする傾向があります。

特徴4:海外取引や外貨取引を行っている

海外の関連会社との取引や輸出入、外貨建ての取引がある法人は、税務調査の対象になりやすい傾向があります。
これは、国外への送金を利用した資産隠しや、海外子会社との取引価格を操作して利益を海外に移転する「移転価格税制」への対策を税務当局が強化しているためです。
海外取引は会計処理や税務判断が複雑で誤りが生じやすいため、取引の正当性を証明する契約書や価格の根拠資料など、追加の書類提出を求められることも多くなります。

特徴5:消費税の還付申告を受けている

輸出取引を行っている、あるいは高額な設備投資を行ったなどの理由で、支払った消費税が受け取った消費税を上回り、消費税の還付申告をした法人は、調査対象に選ばれやすくなります。
税務署の立場からすると、税金を徴収するのではなく支払うことになるため、その還付が正当なものかを確認する必要があるからです。
特に、売上が0円にもかかわらず多額の還付申告があった場合などは、その取引の実態について厳しくチェックされることになります。

特徴6:過去に税務調査で指摘を受けたことがある

過去に一度でも税務調査で申告漏れや不正などの指摘を受けた法人は、その後の改善状況を確認する目的で、再調査の対象になりやすい傾向があります。
税務署は、指摘事項が正しく是正され、経理体制が改善されているかを重点的にチェックします。
特に、前回の調査で重加算税が課されるような悪質な不正が発覚した場合には、短期間で再び調査が行われる可能性が高まります。

指摘を受けた内容は、その後の申告で特に注意を払う必要があります。

特徴7:長期間にわたり税務調査が実施されていない

法人の税務調査は、一般的に定期的(例えば7〜10年に一度)に行われるといわれています。
ため、設立から8年、9年と一度も税務調査を受けていない法人は、そろそろ調査の順番が回ってくる可能性が高いと判断されます。
税務署の内部では、長期間調査が行われていない法人をリストアップしているともいわれており、申告内容に特に不審な点がなくても、一定期間が経過したことを理由に調査対象に選ばれることがあります。

特徴8:税理士の関与がなく自己申告を続けている

税理士が関与せず、経営者自身が申告書を作成している場合、税法の知識不足からくる計算ミスや解釈の誤りが起こりやすいと見なされます。
税理士が署名した申告書は、専門家によるチェックが入っているため一定の信頼性が担保されますが、自己申告の場合はその保証がありません。
そのため、申告内容の正確性を確認する目的で調査対象に選される可能性が高まります。

特に、複雑な会計処理を行っているにもかかわらず税理士の関与がない場合は、より注意が必要です。

【個人事業主向け】税務調査に狙われやすい個人事業主の6つのケース

税務調査は法人だけの話ではなく、個人事業主も対象となります。
特に近年、働き方の多様化に伴い、個人で事業を行う人が増えていることから、税務署も個人の申告内容に注目しています。
法人と同様に、調査対象として狙われやすい個人事業主にもいくつかの共通するケースが見られます。

自身の状況と照らし合わせ、適切な申告と納税ができているかを確認することが重要です。

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ケース1:開業届や確定申告書を提出していない

開業したにもかかわらず開業届を提出していない、あるいは所得があるのに確定申告を行っていない無申告の状態は、税務調査の対象となる最も典型的なケースです。
税務署は、取引先が提出する支払調書や、各種の公的情報、第三者からの情報提供などから、個人の所得を把握する手段を持っています。
申告がなければいずれ発覚する可能性が非常に高く、発覚した際には本来の税額に加えて重いペナルティが課されることになります。

ケース2:売上が1,000万円前後の水準で推移している

売上が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の課税事業者となり、消費税の申告・納税義務が発生します。
そのため、毎年売上が980万円、990万円といったように、1,000万円をわずかに下回る状態が続いている個人事業主は、意図的に売上を調整して消費税の納税を免れようとしているのではないかと疑われる可能性があります。
税務署は、この基準値前後の売上については特に注意深く見ており、調査対象に選ばれやすくなります。

ケース3:売上に対して経費の割合が不自然に多い

売上規模や業種の特性から見て、経費の割合(経費率)が不自然に高い場合、調査対象になる可能性が高まります。
例えば、個人的な飲食代や旅行費を事業経費に含めている、あるいは実態のない経費を計上しているといった「経費の水増し」が疑われるからです。

特に、事業との関連性を合理的に説明できない高額な交際費や、自宅兼事務所の家賃・光熱費の按分比率が不適切である場合などは、厳しくチェックされるポイントです。

ケース4:申告内容に誤りが頻繁に見られる

確定申告書において、単純な計算ミスや勘定科目の分類間違い、添付書類の不備などが頻繁に見られる場合、会計処理全般に対する信頼性が低いと判断されます。
これらの誤りが意図的なものではない「非違」であったとしても、ずさんな経理処理が常態化しているのではないか、他にも誤りがあるのではないかという疑念を抱かせます。
その結果、申告内容の正確性を根本から確認するために、税務調査の対象として選定されることがあります。

ケース5:不動産の売却など大きな資産の動きがあった

土地や建物などの不動産、あるいは株式を売却して多額の譲渡所得を得た年は、申告漏れがないかを確認するために税務調査の対象となりやすいです。
不動産取引は登記情報から税務署が動きを把握しやすいため、申告がなければすぐに発覚します。
また、親などから資産を相続した際には相続税の申告内容と合わせて、被相続人の過去の所得税申告が適切だったか、あるいは相続した資産から生じる所得が正しく申告されているかといった点も調査の対象になります。

ケース6:インフルエンサーなど新しい業態で事業を行っている

インターネットを利用した新しいビジネス、例えばインフルエンサー、YouTuber、アフィリエイター、ネットショップ運営などは、税務署がまだ取引の実態を完全に把握しきれていない分野です。
現金でのやり取りがなくスマホ一つで収入が得られるため、納税意識が低いケースも見受けられます。
そのため、税務署はこれらの新しい業態に対して積極的に情報収集を行っており、申告が適正に行われているかを確認する目的で、調査対象に選ぶ傾向を強めています。

税務調査を回避するために日頃からできる4つの予防策

税務調査の対象に選ばれないためには、日頃から税務署に「申告内容が正確で信頼できる」と判断されるような経理体制を整えておくことが最も有効な対処法です。
特別な対策が必要なわけではなく、基本的なことを着実に行うことが重要になります。
ここでは、税務調査のリスクを低減させるために日頃から実践できる4つの予防策について解説します。

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対策1:会計ソフトを導入し正確な帳簿を作成する

正確な帳簿付けは、適切な申告の基礎となります。
手作業や表計算ソフトでの管理は、計算ミスや転記漏れといったヒューマンエラーが発生しやすくなります。
会計ソフトを導入すれば、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、仕訳を効率化できるため、ミスを減らし正確な帳簿を維持しやすくなります。

勤怠管理システムと連携して給与計算を自動化すれば、タイムカードの記録に基づいた正確な人件費の計上も可能です。

対策2:領収書や請求書などの証拠書類を整理・保管する

税務調査では、帳簿に記録されたすべての取引について、その根拠となる証拠書類(エビデンス)の提示を求められます。
領収書やレシート、請求書、契約書といった書類は、取引の事実を証明するための重要な資料です。
これらの書類を日付順や取引先別など、分かりやすく整理し、法律で定められた期間(原則として7年間)きちんと保管してください。

書類が整理されていれば調査もスムーズに進みますし、安易な廃棄は経費の否認につながるため絶対に避けるべきです。

対策3:個人的な支出と事業経費を明確に区分する

個人事業主や同族会社の経営者に特に多い注意点として、プライベートな支出を事業の経費として計上してしまう問題があります。
これは税務調査で最も指摘されやすい項目のひとつです。
これを防ぐためには、事業専用の銀行口座やクレジットカードを用意し、個人的な支出と事業用の支出を完全に分けることが有効です。

自宅兼事務所の家賃や光熱費など、一部を家事按分して経費に計上する場合は、事業で使用している面積や時間など、客観的で合理的な基準で計算する必要があります。

対策4:税理士に顧問を依頼し申告書の質を高める

税理士に顧問を依頼し、日々の会計処理のチェックや決算・申告を任せることは、最も効果的な予防策の一つです。
税理士が作成し、「税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面」を申告書に添付することで、申告内容の信頼性が格段に高まります。
税務署も専門家が関与している案件については、単純なミスが少なく信頼性が高いと判断するため、調査対象に選ばれる確率を下げることができます。

専門的な視点からの節税アドバイスを受けられるメリットもあります。

税務調査の事前通知から調査終了後までの流れと対応

日頃から対策をしていても、税務調査の対象に選ばれる可能性はゼロではありません。
飲食店など現金商売の事業者に対しては、事前の予告なしに調査官が訪問する「無予告調査」が行われることもありますが、大半の調査は事前に電話で通知されます。
通知があった場合の対応から調査終了後までの一般的な流れを理解しておくことで、落ち着いて準備を進められます。

ステップ1:税務署からの事前通知と日程調整

多くの場合、税務調査は事前に電話で通知されます。
担当の調査官から、調査を開始したい旨、調査対象となる税目、対象期間、希望日時、場所などが伝えられます。
顧問税理士がいる場合は、税理士に直接連絡が入ります。

通知された日程で都合が悪い場合は、理由を伝えれば変更が可能です。
慌てて承諾せず、税理士と相談したり、準備をしたりする時間を確保した上で日程を調整しましょう。

ステップ2:調査当日までに必要な書類を準備する

事前通知の際に伝えられた調査対象期間について、関連する書類を準備します。
具体的には、総勘定元帳、仕訳帳、請求書や領収書の綴り、預金通帳、契約書、議事録などが主な対象です。

その他、業種によっては売上管理表や在庫管理表なども必要になります。

調査当日に慌てないよう、事前に書類を整理し、いつでも提示できる状態にしておきましょう。
書類が整理されていることで、調査官に良い印象を与えることにもつながります。

ステップ3:調査当日の質疑応答への対応

調査当日は、帳簿や書類の確認と並行して、事業内容や経理処理の方法について調査官から質疑応答が行われます。
質問に対する受け答えは、正直かつ簡潔に行うのが基本です。
あいまいな記憶や推測で回答すると、後で矛盾が生じる可能性があるため、不明な場合は「確認して後ほど回答します」と伝えることが賢明です。

対応できない質問や、非協力的な態度は心証を悪くするだけなので避けましょう。
税理士に立ち会いを依頼していれば、不適切な質問に対する牽制や回答のサポートをしてもらえます。

ステップ4:調査後の指摘事項への対応と修正申告

実地調査が終わると、後日、調査官から調査結果の連絡があります。
環境や帳簿に特に問題がなければ「申告是認」として調査は終了です。
もし申告内容に誤りなどの指摘事項があれば、その内容について説明を受けます。

指摘に納得できる場合は、自主的に修正申告書を提出し、不足分の税額と加算税・延滞税を納付します。
納得できない場合は、税務署側の更正処分を待ってから不服申し立ての手続きに進むことも可能です。
指摘は調査対象期間全体に及ぶため、影響をよく確認する必要があります。

税務調査で特に厳しくチェックされる5つのポイント

税務調査では、調査官が特に注意深く確認する項目が存在します。
これらは過去の調査で不正や誤りが発覚しやすい、いわば「定番」のポイントです。
自社の経理処理において、これらの項目が適切に扱われているかを日頃から意識しておくことが、指摘を受けないための重要な対策となります。

以下に、特に厳しくチェックされる5つのポイントを解説します。

ポイント1:売上の計上漏れや計上時期のズレ

売上は税額計算の根算となるため、最も厳しくチェックされる項目です。
意図的に売上の一部を除外していないか、あるいは決算期末の売上を翌期にずらして利益を圧縮していないか(期ズレ)といった点が確認されます。
調査官は、請求書や契約書、納品書、預金通帳の入金履歴などを帳簿と照合し、調査対象期間の売上がすべて正しく計上されているかを徹底的に検証します。

ポイント2:架空の人件費や外注費の計上

実際には勤務していない親族を従業員として給与を支払う、あるいは実態のない会社に業務を発注したように見せかけて外注費を計上するといった「架空経費」は、典型的な不正行為です。
調査官は、タイムカードや源泉徴収簿、業務委託契約書、納品された成果物などを確認し、その支払いが事業実態に見合った正当なものであるかを検証します。
疑わしい場合は、従業員や外注先に直接反面調査が行われることもあります。

ポイント3:個人的な支出の事業経費への付け替え

社長やその家族のプライベートな旅行費用、飲食代、高級品の購入費などを、会社の福利厚生費や交際費、消耗品費といった科目で経費処理していないかは、厳しくチェックされます。
調査官は、領収書の内容や会議の議事録などを確認し、その支出が本当に事業の遂行上必要なものであったかを問いただします。

事業との関連性を合理的に説明できない支出は、経費として認められず否認されることになります。

ポイント4:在庫の計上漏れや評価額の誤り

期末の棚卸資産(商品、製品、原材料などの在庫)を意図的に少なく計上すると、その期の売上原価が過大に計算され、利益を圧縮できてしまいます。
そのため、在庫の計上漏れは脱税行為とみなされ、厳しく調査されます。
調査官は、期末の実地棚卸が適切に行われているか、在庫の評価方法が税法のルールに則っているかなどを確認します。

少なくとも過去5年分の在庫データと帳簿の整合性がチェックされる可能性があります。

ポイント5:交際費・福利厚生費の妥当性

交際費は、税法上、損金に算入できる金額に上限が設けられています。
そのため、本来は交際費に該当する支出を、会議費や広告宣伝費など他の勘定科目に振り分けていないかがチェックされます。
また、全従業員を対象とすべき福利厚生費が、特定の役員やその家族のためだけに支出されていないかなど、その費用の妥当性も確認の対象となります。

関連書類は7年間の保存義務があるため、いつでも説明できるようにしておくことが重要です。

申告漏れが発覚した場合に課される追徴課税の種類

税務調査の結果、申告内容に誤りや漏れが見つかり、本来納めるべき税額よりも少ない金額で申告していたことが発覚した場合、不足分の税金を納めるだけでは済みません。
ペナルティとして、本来の税額に上乗せされる「附帯税」が課されます。
附帯税にはいくつかの種類があり、ミスの内容や悪質性の度合いによって課される加算税の種類や税率が異なります。

過少申告加算税

確定申告で届け出た税額が、本来納めるべき税額よりも少なかった場合に課される加算税です。
税務調査の通知を受ける前に、自主的に間違いに気づいて修正申告をすれば課税されません。
調査後に指摘を受けて修正申告した場合、新たに追加で納めることになった税額の10%(追加税額のうち50万円を超える部分は15%)が課されます。

意図的ではない、単純な計算ミスなどが原因の場合に適用され、悪質なケースとは区別されます。

無申告加算税

定められた申告期限までに確定申告を行わなかった場合に課される加算税です。
税率は、納付すべき税額に対して50万円までは15%, 50万円を超える部分は20%と高めに設定されています。
税務調査の前に自主的に期限後申告をした場合は5%に軽減されます。

申告を忘れていた、あるいは意図的に行わなかったなど、理由を問わず申告期限を過ぎた場合は違法となり、ペナルティの対象です。

不納付加算税

従業員の給与や税理士などへの報酬から天引きした源泉所得税を、定められた納付期限までに国に納付しなかった場合に課される加算税です。
原則として、納付すべき税額の10%が課されますが出、税務調査の通知前に自主的に納付した場合は5%に軽減されます。
納税者から預かった税金を納めなかったという点で、厳しい措置が取られます。

重加算税

附帯税の中で最も重いペナルティが、重加算税です。
これは、売上を隠したり、架空の経費を計上したりするなど、意図的に事実を仮装・隠蔽して税金を免れようとした悪質なケースに適用されます。
過少申告加算税や無申告加算税に代わって課され、税率は過少申告の場合は追加税額の35%、無申告の場合は納付すべき税額の40%と非常に高率になります。

延滞税

法定納期限までに税金を納付しなかった場合に、その遅延した日数に応じて課される、利息に相当する税金です。
各種加算税が課される場合には、それに加えて延滞税も発生します。
納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて計算され、税率も時期によって変動するため、納付が遅れるほど負担は増え続けます。

税務調査の対応を税理士に依頼する3つのメリット

税務調査の通知が来ると、多くの経営者は大きな不安を感じ、本業に集中できなくなることも少なくありません。
このような状況において、税務の専門家である税理士に調査の立ち会いを依頼することは、精神的な負担を軽減するだけでなく、納税者にとって不利な結果を回避するための有効な手段となります。
税理士に依頼することで得られる具体的なメリットは主に3つあります。

メリット1:調査官とのやり取りをすべて任せられる

税理士に依頼すると、調査日程の調整から、当日の調査官からの専門的な質問への応対、調査後の交渉まで、一連のプロセスをすべて任せることができます。
納税者本人が直接対応すると、不慣れなために不利な発言をしてしまったり、調査官のペースに巻き込まれたりする可能性があります。
専門家が間に入ることで、冷静かつ論理的な対応が可能となり、経営者は安心して本業に専念できます。

メリット2:不利な指摘に対して法的な根拠をもって反論してくれる

調査官の指摘が、必ずしもすべて正しいとは限りません。
税法の解釈には幅があり、見解が分かれるグレーゾーンも存在します。
税理士は、税法の専門家として、調査官の指摘が法的に妥当なものか、過去の判例に照らして適切かを判断します。

もし納税者にとって不利な解釈や事実誤認に基づく指摘があれば、法律や通達を根拠に、納税者の代理人として対等な立場で堂々と反論・交渉してくれます。

メリット3:修正申告が必要な場合の税額を最小限に抑えられる

万が一、申告漏れなどの指摘事項があり修正申告が必要になった場合でも、税理士は納税者の不利益が最小限になるよう尽力します。
調査官の指摘を鵜呑みにせず、交渉の余地がある点については粘り強く折衝し、追徴税額を不当に大きくさせないよう働きかけます。

経費として認められる可能性のある項目を検討するなど、専門的な知識を駆使して、最終的な納税額を適正な範囲内に抑えることが期待できます。

税務調査の立ち会いを税理士に依頼した場合の費用相場

税務調査の立ち会いを税理士に依頼した場合の費用は、税理士事務所の方針や調査の規模・難易度によって異なりますが、一般的には日当制で計算されるケースが多く見られます。
費用相場としては、税理士1人につき1日あたり3万円から5万円程度が目安です。
調査が2日間かかれば、その2日分の日当が必要になります。

加えて、調査の準備や事後対応、修正申告書の作成が必要な場合は、別途で報酬が発生するのが一般的です。
顧問契約を結んでいる場合は、立ち会い費用が割安になったり、顧問料に含まれていたりすることもあります。

税務調査の対策に関するよくある質問

税務調査に関して、多くの方が抱く疑問について解説します。

Q. 税務調査の連絡はいつ頃来ますか?

明確な時期は決まっていませんが、法人の場合は決算申告書を提出してから数ヶ月後の、申告内容の内部審査が終わったタイミングで来ることが多いです。
個人事業主の場合は、確定申告期間が終わった後の4月から7月頃、あるいは秋口の9月から11月頃に連絡が集中する傾向があります。

Q. 調査官の質問にはすべて答える必要がありますか?

はい、納税者には調査官の質問に答える「受忍義務」があるため、黙秘権は認められていません。
ただし、質問の意図が不明な場合や、事実関係をすぐに思い出せない場合は、その場で曖昧に答えるのではなく、「確認してから後日回答します」と伝え、正確な情報を基に回答することが重要です。

Q. 調査期間は通常どれくらいかかりますか?

事業の規模や調査の状況によって異なりますが、一般的には1日から3日間で実施されるケースがほとんどです。
午前10時頃から始まり、夕方まで行われます。
ただし、帳簿や資料の量が多い、取引が複雑である、問題点が多数見つかったといった場合には、調査期間が延長されることもあります。

まとめ

税務調査は、法人・個人を問わず、どの事業者にも行われる可能性がある手続きです。
調査対象に選ばれないための最大の対策は、日頃から会計ソフトなどを活用して正確な帳簿を作成し、すべての取引の根拠となる証拠書類を整理・保管することに尽きます。
もし調査の通知を受けた際には、慌てずに税務調査の流れを理解し、必要書類を準備してください。

そして、少しでも不安があれば、専門家である税理士に相談し、立ち会いを依頼することが、精神的・経済的な負担を軽減し、最善の結果を得るための鍵となります。

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この記事の執筆者
武信 隼人
武信 隼人
税理士事務所CUBE 代表税理士 / タクバツ監修

個人事業主・フリーランスの確定申告、無申告、税務調査対応に強みを持つ税理士。これまで多くの税務相談・申告対応を行ってきた実務経験をもとに、タクバツの記事監修を担当しています。専門性だけでなく、わかりやすさと安心感のある情報発信を大切にしています。

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