確定申告の書き方について、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事では、確定申告書の作成手順や具体的な記入例を豊富な見本とともに紹介しており、会社員の副業や株の取引がある場合など、様々なケースに対応しています。
全体の流れから、第一表・第二表といった必須書類の各項目の埋め方、提出方法までを網羅しているため、一つひとつ確認しながら作業を進めることで、ミスなく申告を完了させることが可能です。
確定申告は3ステップで完了!準備から提出までの全体の流れ
確定申告の全体の流れは、大きく3つの手順に分けられます。
この簡単なステップを理解しておけば、全体のやり方を把握しやすくなります。
まず、申告に必要な書類を事前に集める「準備」、次に集めた書類を基に申告書を実際に作成する「作成・記入」、最後に完成した申告書を税務署に提出する「提出」です。
この手順を一つずつ確実に進めることで、誰でも簡単に確定申告を終えられます。
以下で、それぞれのステップについて具体的に説明します。
ステップ1:申告に必要な書類を準備する
確定申告を始める前に、必要な書類を漏れなく揃えましょう。
まず、確定申告の用紙(申告書第一表・第二表など)が必要です。
個人事業主の場合は、日々の取引を記録した帳簿や、それをもとに作成した青色申告決算書または収支内訳書も用意します。
会社員であれば源泉徴収票が必須です。
経費を計上する際は、その支払いを証明するレシートや領収、クレジットカードの明細などをまとめておきます。
その他、各種控除を受けるための証明書(生命保険料控除証明書、寄附金の受領証など)も手元に準備してください。
損益計算書も確認資料となります。
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ステップ2:確定申告書を作成・記入する
書類が準備できたら、確定申告書を作成します。
作成方法にはいくつかの選択肢があり、税務署や市区町村の窓口で紙の申告書と手引きをもらい、手書きで記入する方法が従来からあります。
しかし、近年では国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが一般的です。
このサイトでは、画面の案内に従って数字を入力するだけで自動計算され、e-Taxを通じてネットで提出まで完結できます。
会計ソフトのアプリを使えば、スマホで手軽に作成することも可能です。
ステップ3:作成した申告書を税務署へ提出する
作成した申告書は、原則として定められた期間内に所轄の税務署へ提出します。
提出方法には、税務署の窓口へ直接持参する方法や、時間外収受箱へ投函する方法、信書として郵送する方法があります。
また、e-Tax(電子申告)を利用すれば、自宅からオンラインで提出が完了するため非常に便利です。
確定申告の時期には、税務署や一部の市役所で相談窓口が設けられることもありますが、相談には事前予約が必要な場合が多いため、早めに確認しておきましょう。
【全員必須】確定申告書「第一表」の書き方を解説
確定申告書第一表は、申告を行うすべての方が提出する必要がある中心的な書類です。
一年間の収入や所得、それに対する税額を計算し、最終的な納税額や還付額を算出するために使用します。
最新の様式に基づき、各項目の書き方を具体的な記入例とともに解説しますので、参考にしながらご自身の情報を正確に記入していきましょう。
①住所・氏名・マイナンバーなど基本情報を記入する
申告書の最上部には、提出日時点の住所、氏名、生年月日、職業といった個人情報を記入します。
電話番号は、日中に連絡が取れる番号を記載してください。
個人番号(マイナンバー)の欄には、12桁のマイナンバーを正確に記入します。
世帯主の氏名と、世帯主との続柄も忘れずに埋めましょう。
屋号がある個人事業主は、屋号欄に記入します。
これらの基本情報は、本人確認や申告内容の管理に用いられる重要な項目です。
②源泉徴収票を見ながら「収入金額等」を転記する
「収入金額等」の欄には、1年間の収入の合計額を種類別に記入します。
会社員やアルバイト・パートの方は、勤務先から交付される源泉徴収票に記載されている「支払金額」を「給与」の欄にそのまま転記します。
個人事業主やフリーランスの方は、事業で得た売上の合計額を「事業(営業等)」の欄に記入してください。
その他、原稿料などの報酬や公的年金収入がある場合も、それぞれ対応する欄に金額を記載します。
③収入から経費を引いた「所得金額等」を計算して記入する
「所得金額等」の欄には、収入金額から必要経費等を差し引いた後の金額を記入します。
会社員の場合、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を転記すれば計算は不要です。
個人事業主は、売上から仕入れ代や消耗品費などの必要経費を差し引いた金額を計算して記入します。
クレジットカードで支払った経費も漏れなく計上しましょう。
この所得金額が、税額計算の基礎となる重要な数字です。
④各種控除を適用する「所得から差し引かれる金額」を埋める
「所得から差し引かれる金額」の欄には、適用できる各種所得控除の金額を記入します。
所得控除は、納税者の個人的な事情を考慮して税負担を軽減する制度です。
代表的なものに、全員が適用される基礎控除、配偶者の所得に応じた配偶者控除や配偶者特別控除、扶養親族がいる場合の扶養控除があります。
その他、社会保険料控除、生命保険料控除、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金が対象の小規模企業共済等掛金控除、ひとり親控除など、該当する控除の証明書を見ながら正確に金額を埋めてください。
住宅ローン控除は税額控除のため、この欄には記入しません。
⑤最終的な納税額もしくは還付額がわかる「税金の計算」欄
「税金の計算」欄では、最終的に納める税金、または還付される税金の額を算出します。
まず、課税所得金額(所得金額の合計から所得控除を差し引いた額)に対応する税率を掛けて所得税額を計算します。
ここから住宅ローン控除などの税額控除を差し引きます。
さらに、令和6年分申告では定額減税額も差し引きます。
給与などから天引きされた源泉徴収税額や、年の途中で支払った予定納税額がある場合は、それらを差し引くことで最終的な納税額または還付額が確定します。
⑥還付金の受取口座を記入する「還付される税金の受取場所」
計算の結果、納め過ぎた税金が戻ってくる「還付」になる場合は、この欄に還付金の振込先口座を記入します。
受け取り方法は銀行口座への振込が一般的です。
金融機関名、支店名、預金種別、口座番号を正確に記載してください。
注意点として、指定できるのは申告者本人名義の口座に限られます。
屋号付きの口座や旧姓のままの口座は指定できない場合があるため、事前に確認が必要です。
ゆうちょ銀行を指定することも可能です。
【全員必須】確定申告書「第二表」の書き方を項目別に解説
確定申告書第二表は、第一表に記入した金額の内訳や詳細を記載する重要な書類です。
所得の種類や所得控除、親族に関する情報などを具体的に示す役割があり、第一表とセットで提出が必須となります。
ここでは、第二表の主要な項目(所得の内訳、各種保険料控除、親族に関する事項、住民税に関する事項など)の書き方を、項目ごとの区分に沿って解説します。
所得の種類と金額を詳しく書く「所得の内訳」
「所得の内訳」欄には、収入を得た先の情報を具体的に記入します。
給与所得の場合、源泉徴収票を見ながら支払者(勤務先の会社名)、収入金額、源泉徴収税額を転記します。
個人事業主の事業所得(営業・農業)や、アパート・駐車場経営による不動産所得、個人年金や生命保険の満期返戻金などの一時所得、退職金(退職所得)、土地や建物の譲渡所得、利子所得、配当所得など、所得の種類ごとに分けて記載が必要です。
複数の収入源がある場合は、すべて漏れなく記入してください。
社会保険料や生命保険料控除の詳細を記入する欄
この欄には、第一表で記入した社会保険料控除や生命保険料控除などの内訳を記載します。
社会保険料控除については、支払った国民健康保険料や国民年金保険料などの社会保険の種類と、支払った保険料の金額を記入します。
生命保険料控除については、加入している保険会社名、保険の種類(一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料)、そして支払った保険料の金額を、控除証明書の内容に基づいて正確に書き写してください。
配偶者や扶養親族の情報を記載する「配偶者や親族に関する事項」
ここでは、配偶者控除や扶養控除の対象となる親族の情報を記入します。
配偶者や被扶養者の氏名、マイナンバー、続柄、生年月日を一人ひとり記載してください。
控除対象とならない16歳未満の扶養親族についても、住民税の計算に関わるため、この欄への記入が必要です。
個人事業主が家族に給与を支払っている場合の青色専従者についても、同様に情報を記載します。
これにより、誰を扶養しているかが明確になります。
住民税の納付方法を選択する「住民税・事業税に関する事項」
この欄では、給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税の納付方法を選択します。
給与から天引きされる「特別徴収」と、自分で納付書を使って納める「普通徴収」の2種類があります。
会社員が副業所得分の住民税を給与天引きに含めたくない場合、ここで「自分で納付」を選択することで、副業分の住民税納付書が自宅に送付されるようになります。
事業所得がある場合は、事業税に関する記載も必要です。
【該当者のみ】第三表・第四表が必要になるケースと書き方
確定申告書には、第一表・第二表のほかに、特定の所得や状況がある人のみ提出が必要な「第三表」と「第四表」があります。
第三表は土地や株式の譲渡所得といった分離課税の所得がある場合に、第四表は事業の損失を繰り越す場合などに使用します。
これらは総合課税の対象となる所得とは別に税額を計算するための書類です。
ここでは、どのようなケースでこれらの申告書が必要になるか、その書き方と合わせて解説します。
株や不動産の売却益がある場合の「第三表(分離課税用)」の記入方法
第三表は、分離課税の対象となる所得がある場合に使用します。
具体的には、土地や建物の売却による譲渡所得(長期譲渡所得・短期譲渡所得)、特定口座で取引した株式や有価証券、投資信託の売却益、申告分離課税を選択した上場株式等の配当金などが該当します。
また、FXなどの先物取引による所得も第三表で申告します。
それぞれの所得ごとに収入や必要経費を記入し、税額を計算します。
なお、NISA口座での利益は非課税のため申告不要です。
暗号資産の利益は総合課税の雑所得となり、第三表は使用しません。
配当控除を受ける場合は総合課税を選択します。
事業の赤字を翌年に繰り越す場合の「第四表(損失申告用)」の記入方法
第四表は、事業所得などが赤字になった場合に使用する損失申告用の書類です。
青色申告を行っている個人事業主は、その年の事業で生じた損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺することができます。
また、不動産所得の赤字を他の黒字所得と相殺する際にも使用します。
第四表に損失額や繰越損失に関する事項を記入し、第一表・第二表とともに提出することで、これらの特例の適用を受けることが可能です。
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【ケース別】あなたの状況に合わせた確定申告書の記入例
確定申告書の書き方は、申告者の職業や収入の種類によって異なります。
ここでは、会社員(サラリーマン)や個人事業主(フリーランス)、年金受給者といった立場ごとの書き方を解説します。
また、アルバイトをしている方や、年の途中で退職・転職した方、無職の期間があった方、給与所得と事業所得がある場合など、様々な状況に応じた記入例を紹介し、ご自身のケースに当てはめて申告作業を進められるようにサポートします。
会社員で副業収入や医療費控除がある場合の書き方
会社員は通常、会社の年末調整で納税が完了しますが、副業の所得が年間20万円を超える場合や、医療費控除、ふるさと納税(ワンストップ特例を利用しない場合)、住宅ローン控除の1年目、特定の増改築(リフォーム)を行った場合などは確定申告が必要です。
せどりやハンドメイド販売などの副業収入は、事業所得または雑所得として申告します。
競馬などで得た一時的な利益も申告対象です。
申告書には、まず年末調整済みの源泉徴収票の内容を転記し、そこへ副業の所得や各種控除の内容を追記する形で作成します。
個人事業主・フリーランス(青色申告・白色申告)の書き方
個人事業主やフリーランスは、1年間の売上と経費を自分で集計し、所得を計算して申告する必要があります。
申告方法には、簡易な帳簿で済む白色申告と、複式簿記での記帳が必要な代わりに最大65万円の特別控除などが受けられる青色申告があります。
どちらの申告方法でも、確定申告書に加えて、白色の場合は「収支内訳書」、青色の場合は「青色申告決算書」を作成し、添付しなければなりません。
インボイス制度に登録している場合は、消費税の申告も必要になることがあります。
公的年金を受け取っている場合の書き方
公的年金を受け取っている方は、年間の収入金額や所得状況によって確定申告の要否が異なります。
「公的年金等の収入金額が400万円以下」かつ「年金以外の所得金額が20万円以下」の条件を満たす場合、所得税の確定申告は不要です。
ただし、医療費控除や生命保険料控除などで税金の還付を受けたい場合は、申告が必要です。
申告する際は、日本年金機構などから送付される「公的年金等の源泉徴収票」をもとに、雑所得として収入金額や源泉徴収税額を申告書に記入します。
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確定申告書の作成でミスを防ぎ、スムーズに終えるためのポイント
確定申告書の作成には、計算ミスや記入漏れといった間違いが起こりがちです。
不備があると、修正の手間がかかったり、税金の計算に影響が出たりする可能性があります。
ここでは、書き間違えた場合の訂正方法や、提出前に行うべきチェック項目、さらには手書きよりも簡単で正確に作成できるツールの活用法など、ミスを防いでスムーズに申告を終えるための基本的なルールやポイントを解説します。
書き間違えた場合の訂正方法(訂正印は必要?)
手書きの申告書で記入を間違えた場合、修正液や修正テープは使用できません。
間違えた箇所に二重線を引き、その上や近くの余白に正しい内容を記入します。
訂正印は法律上必須ではありませんが、押しておくとより丁寧です。
提出後に間違いに気づいた場合は、申告期限内であれば再度正しい内容で申告書を作成し、提出し直せば問題ありません。
期限後に税額を少なく申告していたことに気づいた場合は「修正申告」、多く申告していた場合は「更正の請求」という手続きで変更します。
提出前に必ず確認したい!よくある記入漏れチェックリスト
申告書を提出する前に、最終確認を行いましょう。
特に多いのが、マイナンバーの記載漏れや本人確認書類の添付忘れです。
還付申告の場合は、振込先口座情報が正確かどうかも再度確認してください。
また、医療費控除の明細書や各種控除証明書など、必要な添付書類が揃っているかもチェックします。
第一表と第二表の数字に矛盾がないか、収支内訳書や決算書の数字が正しく転記されているかなど、関連書類との整合性も確認するべき重要なポイントです。
手書きより簡単!国税庁「確定申告書等作成コーナー」の活用法
確定申告書の作成は、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、手書きに比べて格段に簡単かつ正確に行えます。
画面の案内に従って収入や控除の金額を入力するだけで、税額が自動で計算されるため、計算ミスを防げます。
また、マイナポータルと連携すれば、生命保険料控除証明書や医療費通知情報などのデータを自動で取得・入力できる機能もあります。
作成したデータはe-Taxでそのまま電子申告できるため、印刷や郵送の手間もかかりません。
確定申告の書き方に関するよくある質問
確定申告の書き方について調べていると、様々な疑問が出てくるものです。
「そもそも自分は申告が必要なのか」「書類のどこを見ればいいのか分からない」といった基本的な質問から、具体的なケースでの対応方法まで、初心者がつまずきやすい点をまとめました。
税務署への電話相談や無料相談会の情報も参考に、不明な点を解消しましょう。
なお、相続に関する準確定申告は、通常の確定申告とは手続きが異なるため注意が必要です。
そもそも確定申告が必要かどうかを確認する方法は?
給与所得者で副業所得が年20万円を超える場合や年収が2,000万円を超える場合に申告が必要です。
個人事業主は所得が48万円を超えると申告義務が生じます。
所得が0円でも青色申告の赤字繰越を利用したい場合や、税金の還付を受けたい場合は申告します。
法人は個人の確定申告ではなく法人税の申告を行います。
源泉徴収票のどの数字を申告書のどこに転記すればよいですか?
源泉徴収票の「支払金額」は、確定申告書第一表の「収入金額等」の「給与」欄に転記します。
「給与所得控除後の金額」は「所得金額等」の「給与」欄へ、「源泉徴収税額」は「税金の計算」の「源泉徴収税額」欄へ、それぞれの数字を対応させて書き写してください。
各項目の場所を間違えないよう注意が必要です。
副業の収入が少ない場合や、収入が0円でも申告は必要ですか?
会社員の場合、副業の「所得」が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は原則不要です。
ただし、住民税の申告は別途必要になる場合があります。
収入が0円や赤字(所得がマイナス)の場合は申告義務はありませんが、源泉徴収された税金の還付を受けたい場合や、青色申告で赤字を繰り越したい場合は申告が必要です。
まとめ
確定申告の書き方は、全体の流れを理解し、必要な書類を準備した上で、一つひとつの項目を丁寧に進めることが重要です。
本記事で解説した手順や見本を参考にすれば、初心者でもミスなく書類を完成させられます。
令和6年分(2024年分)の確定申告は、令和7年(2025年)に行われます。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などの便利なツールも活用し、期限内に正確な申告を完了させましょう。


