住宅ローン控除を初めて利用する場合、初年度は会社員であっても自分で確定申告が必要です。
令和6年(2024年)中に住宅へ入居した方は、2025年に行う確定申告で手続きをします。
この記事では、はじめて住宅ローン控除の適用を受ける方に向けて、確定申告の流れや具体的な方法を解説します。
最近では国税庁のウェブサイトを利用し、ネットで手続きを完結させることも可能です。
事前に全体の流れをシミュレーションし、スムーズな申告を目指しましょう。
住宅ローン控除の初年度は会社員でも確定申告が必須
住宅ローン控除を受けるためには、たとえ会社員や給与所得者であっても、住宅に入居した年の翌年に必ず確定申告を行わなければなりません。
1年目(初年度)は、年末調整では手続きができないため、自分で申告する必要があります。
これは、税務署が住宅ローンの内容や住宅の情報を初めて確認し、控除の適用要件を満たしているかを判断するためです。
個人事業主が青色申告で事業の経費を計上するのとは異なり、会社員の場合は払いすぎた税金の還付を受ける「還付申告」となります。
2年目以降は年末調整で手続きが簡単になる
初年度の確定申告を済ませると、2年目以降の手続きは大幅に簡素化され、会社の年末調整で完結します。
確定申告を行った年の10月頃に、税務署から残りの控除期間分の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」が一括で送付されます。
翌年以降は、この税務署からの案内書類と、金融機関から毎年送られてくる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出するだけで、住宅ローン控除の手続きが完了します。
還付金はいつ振り込まれる?申告から1〜2ヶ月後が目安
確定申告で手続きした還付金は、申告方法によって入金時期が異なります。
e-Tax(電子申告)を利用した場合、申告から約2〜3週間後が目安です。
一方、税務署の窓口へ書類を持参したり、郵送で提出したりした場合は、約1ヶ月から2ヶ月後に指定の口座へ振り込まれます。
還付される金額は、その年に納めた所得税の額が上限です。
控除額が所得税額を上回る場合、控除しきれなかった分は翌年度の住民税から一部差し引かれます。
そのため、所得税が0円になるほど還付されても、戻ってくる金額が少ないと感じるケースもあります。
【チェックリスト】住宅ローン控除の確定申告に必要な書類一覧
住宅ローン控除の確定申告では、さまざまな書類を準備する必要があります。
手続きをスムーズに進めるためには、事前に必要な書類を確認し、漏れなく揃えておくことが重要です。
提出書類には、法務局や金融機関、勤務先など、それぞれ異なる場所から取得するものがあります。
ここでは、住宅ローン控除の申請に必要な書類を一覧で紹介しますので、ご自身の状況と照らし合わせながらチェックしてみてください。
法務局で取得する必要がある書類:建物の登記事項証明書
建物の登記事項証明書(登記簿謄本)は、不動産の所有者、所在地、構造、床面積などを法的に証明する書類です。
住宅ローン控除の申請において、家屋の情報を証明するために提出が求められます。
この書類は、不動産の所在地を管轄する法務局の窓口で取得できます。
また、オンラインの「登記・供託オンライン申請システム」を利用して請求することも可能です。
金融機関から郵送される書類:住宅ローンの年末残高等証明書
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は、住宅ローンの年末時点での残高を証明する重要な書類です。
控除額の計算はこの年末残高を基に行われるため、確定申告の際に必ず必要となります。
この証明書は、住宅ローンを契約している金融機関から、通常10月から12月頃にかけて郵送で自宅に届きます。
万が一紛失した場合は、金融機関に再発行を依頼しましょう。
勤務先から受け取る書類:給与所得の源泉徴収票
給与所得者の方は、勤務先から交付される「給与所得の源源徴収票」が必要です。
この書類には、1年間の給与収入の合計額や、納付した所得税額などが記載されており、確定申告書を作成する際の基礎情報となります。
通常、年末調整が終わった後の12月から翌年1月にかけて発行されます。
確定申告の時期まで大切に保管しておきましょう。
不動産会社との契約時に受け取る書類:不動産売買契約書のコピー
住宅の取得対価の額や契約年月日などを証明するために、不動産売買契約書や工事請負契約書の写しが必要です。
建売住宅や中古住宅、マンションなどを購入した場合は「不動産売買契約書」、注文住宅を新築した場合は「工事請負契約書」のコピーを準備します。
土地も購入した場合は、土地の売買契約書の写しも必要になることがあります。
マイナンバーを確認できる書類の準備も忘れずに
確定申告書の提出時には、マイナンバー(個人番号)の記載と本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。
マイナンバーカードがあれば、1枚で番号確認と本人確認が完了するため最もスムーズです。
マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバー通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しなどの「番号確認書類」と、運転免許証やパスポートなどの「本人確認書類」の両方を準備する必要があります。
【該当者のみ】住宅の性能を証明するための追加書類
長期優良住宅や低炭素住宅などの認定住宅、あるいはZEH水準省エネ住宅などの特定の基準を満たす住宅の場合、一般の住宅よりも高い借入限度額が適用されます。
この優遇措置を受けるためには、住宅の性能を証明する追加書類が必要です。
具体的には、「長期優良住宅建築等計画」の認定通知書の写しや、住宅省エネルギー性能証明書、建設住宅性能評価書の写しなどが該当します。
これらの書類は、床面積が控除の要件を満たしているかどうかの確認にも使われます。
スマホで完結!e-Taxを使った確定申告の5ステップ
現在、住宅ローン控除の確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用することで、スマートフォンやパソコンからオンラインで手続きを完結できます。
マイナンバーカードを使えば、税務署へ行かなくても申告が可能です。
ここでは、スマートフォンを使ったe-Taxでの申告手順を5つのステップに分けて解説します。
事前に必要書類を確認・準備しておくことで、よりスムーズに作成が進みます。
ステップ1:マイナンバーカードと対応スマートフォンを準備する
e-Taxをスマートフォンで利用するためには、まずマイナンバーカードと、そのICチップを読み取れる機能(NFC機能)を持つスマートフォンが必要です。
事前にマイナンバーカードを発行した際に設定した、署名用電子証明書のパスワード(6〜16桁の英数字)と、利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)も確認しておきましょう。
これらは、本人確認と申告データの送信時に使用します。
ステップ2:国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
準備が整ったら、スマートフォンのブラウザから国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。
「作成開始」をタップし、申告方法の選択画面で「e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選びます。
その後、スマートフォンのカメラで画面に表示されるQRコードを読み取り、マイナポータルアプリと連携して本人確認を行います。
ステップ3:画面の案内に沿って個人情報や給与所得を入力する
本人確認が完了したら、画面の案内に従って申告内容を入力していきます。
氏名や住所などの個人情報を入力し、次に手元に用意した源泉徴収票を見ながら、年間の給与所得や源泉徴収税額などを転記します。
マイナポータル連携を利用すると、一部の控除証明書などの情報を自動で取得・入力することも可能です。
記入方法で不明な点があれば、画面上のヘルプ機能が参考になります。
ステップ4:「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成・入力する
給与所得の入力が終わると、控除の入力画面に進みます。
「住宅借入金等特別控除」の項目を選択し、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成します。
ここでは、居住開始年月日や取得対価の額、住宅ローンの年末残高など、契約書や証明書に記載された情報を基に、各欄を埋めていきます。
画面の指示に従って計算・入力すれば、控除額が自動で算出され、確定申告書に反映されます。
書き方の例も表示されるため、確認しながら進めましょう。
ステップ5:作成した申告データをe-Taxで電子送信する
すべての入力が完了し、還付金額が表示されたら、申告内容に誤りがないか最終確認を行います。
問題がなければ、マイナンバーカードをスマートフォンで読み取り、署名用電子証明書のパスワードを入力して電子署名を付与します。
最後に「送信」ボタンを押せば、e-Taxでの申告手続きは完了です。
送信後は、申告データの控えをPDFなどで保存しておきましょう。
省エネ基準を満たさない新築住宅は控除の対象外に
2024年の税制改正により、住宅ローン控除の制度が一部変更されました。
2024年1月1日以降に建築確認を受ける新築住宅については、原則として国が定める省エネ基準に適合していることが控除適用の必須要件となります。
もし、この省エネ基準を満たさない場合、新築住宅であっても住宅ローン控除は受けられないため注意が必要です。
ただし、この要件は新築住宅に適用されるもので、中古住宅の取得には適用されません。
省エネ基準なしでは控除が受けられないことを覚えておきましょう。
住宅の環境性能によって借入限度額が変動する
現在の住宅ローン控除制度では、住宅の環境性能に応じて借入限度額が異なります。
具体的には、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の順に段階的に上限額が設定されており、性能が高い優良住宅ほど、より多くの控除額を受けられる仕組みです。
これから住宅を取得する場合は、その住宅がどの性能レベルに該当するのかを事前に確認することが重要になります。
住宅ローン控除の確定申告に関するよくある質問
住宅ローン控除の確定申告は、初めての方にとっては疑問点が多い手続きです。
ここでは、申告手続きに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
夫婦でローンを組んだ場合や、ふるさと納税との関係など、具体的なケースについて解説します。
不明な点は、税務署の相談窓口や電話相談センターで質問することも可能です。
補助金との併用や9年目以降の手続きなど、細かい疑問の解消に役立ててください。
Q1. もし確定申告を忘れたてしまった場合はどうなりますか?
住宅ローン控除の初年度申告を忘れても、5年以内であれば遡って申告が可能です。
還付申告の提出期限は、控除を受ける年の翌年1月1日から5年間です。
例えば、2024年に入居した場合、2029年の年末まで申告できます。
この場合、「更正の請求」ではなく、通常の確定申告書を作成して提出します。
Q2. 夫婦でペアローンを組んでいる場合、それぞれが確定申告をする必要はありますか?
はい、夫婦それぞれが確定申告を行う必要があります。
ペアローンは、夫と妻がそれぞれ独立したローン契約を結ぶものです。
そのため、各自の借入額や不動産の持分に応じて、それぞれが住宅ローン控除を申請し、還付を受けることになります。
連帯債務の場合とは手続きが異なるため注意が必要です。
Q3. ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用しましたが、確定申告で再度手続きが必要ですか?
はい、再度申告が必要です。
住宅ローン控除を受けるために確定申告を行うと、ふるさと納税のワンストップ特例は無効となります。
そのため、確定申告書にふるさと納税の寄付金額を記載し、寄付金控除として改めて申告し直す必要があります。
生命保険料控除なども同様に、申告書への記載が必要です。
まとめ
住宅ローン控除を受けるための初年度の確定申告は、会社員であっても必須の手続きです。
必要書類が多く複雑に感じるかもしれませんが、e-Taxを利用すれば自宅からでも申請ができます。
2年目以降は年末調整で手続きが簡素化されるため、最初の申告を乗り越えることが重要です。
制度改正により、マンションや戸建て住宅の省エネ性能が控除額に影響するようになっていますので、ご自身の住宅の状況を確認しておきましょう。
この控除は、納めた所得税から直接税額が差し引かれるため、節税効果の高い制度です。


