住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入またはリフォームした際に、所得税や住民税が軽減される制度です。
毎年末のローン残高に0.7%を乗じた金額が、その年に納めるべき税金の納税額から直接差し引かれます。
この控除額は、金融機関が発行する年末残高証明書を基に計算されます。
控除によって税金が安くなり、確定申告後に指定口座への入金(還付)や、翌年の住民税減額という形で恩恵を受けられます。
ただし、控除額は自身の納税額が上限となります。
【2025年最新】住宅ローン控除の改正点を3つのポイントで解説
住宅ローン控除制度は、2022年度の税制改正により内容が大きく変更されました。
特に2024年や2025年に入居する場合、以前のルールとは異なる点があるため注意が必要です。
制度がなくなるわけではありませんが、控除を受けるための要件が厳格化されたり、借入限度額が引き下げられたりしています。
令和6年度の税制改正では、子育て世帯向けの優遇措置が2025年末まで延長されるなど、一部変更も行われています。
2026年以降の動向も注視する必要があります。
ポイント1:省エネ基準を満たさない新築住宅は原則対象外に
2024年1月1日以降に建築確認を受ける新築住宅は、原則として省エネ基準に適合していることが住宅ローン控除の必須要件となりました。
この基準を満たさない、いわゆる「その他の住宅」は控除の対象外となり、住宅ローン控除を受けられない点に注意が必要です。
ただし、2023年12月31日までに建築確認を受けている場合や、2024年6月30日までに竣工済みの場合は、借入限度額が0円とはなるものの、一定の条件下で控除が適用される経過措置があります。
この変更により、住宅選びにおける省エネ性能の重要性が一層高まっています。
ポイント2:新築住宅の借入限度額が引き下げ
2024年・2025年の入居では、住宅性能ごとに設定されている借入限度額が、2022年・2023年入居の場合と比較して引き下げられました。
住宅ローン控除の最大控除額は「年末ローン残高(借入限度額が上限)×0.7%」で決まるため、この変更は控除される金額に直接影響します。
例えば、省エネ基準適合住宅の場合、限度額は4,000万円から3,000万円に引き下げられています。
なお、実際のローン借入額が限度額や住宅の取得対価の額を下回る場合は、その最も低い金額を基に控除額が計算されます。
ポイント3:子育て・若者夫婦世帯は借入限度額の上乗せ措置を継続
2024年・2025年に入居する世帯のうち、子育て世帯と若者夫婦世帯については、借入限度額が一般の世帯よりも高く設定される優遇措置が継続されます。
子育て世帯とは19歳未満の子どもを持つ世帯を指し、若者夫婦世帯とは夫婦のいずれかが40歳未満の世帯を指します。
例えば、認定長期優良住宅の場合、一般世帯の限度額が4,500万円であるのに対し、子育て・若者夫婦世帯は5,000万円となります。
この措置により、対象世帯はより大きな控除を受けられる可能性があります。
【私は対象?】住宅ローン控除を受けるための適用要件をチェック
住宅ローン控除を受けるには、定められた複数の適用条件をすべて満たす必要があります。
これらの要件は、全ての住宅に共通するものと、新築・中古・リフォームといった住宅タイプごとに定められた追加のものに分かれています。
自分が控除の対象になるかどうかを判断するためには、これらの条件を一つずつ確認し、自身の状況がすべて当てはまるかを見極めることが重要です。
要件を満たしていないと、ローンを組んでいても控除は受けられません。
全ての住宅タイプに共通する適用要件
住宅の種類にかかわらず、控除を受けるためには以下の共通要件を満たす必要があります。
まず、控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
次に、住宅ローンの返済期間が10年以上であることです。
また、住宅を取得してから6ヶ月以内に居住を開始し、控除を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいる必要があります。
床面積要件もあり、登記簿上の床面積が50㎡以上でなければなりません。
ただし、合計所得金額1,000万円以下の年に限り、面積要件は40㎡以上に緩和されます。
原則として、控除期間は新築で最大13年間、中古で最大10年間です。
【住宅タイプ別】新築・中古・リフォームごとの追加要件
共通の適用要件に加えて、住宅のタイプに応じた個別の要件も満たす必要があります。
例えば、新築住宅、中古住宅(既存住宅)、そしてリフォーム(増改築)では、それぞれ求められる条件が異なります。
マンションを購入する場合も、新築か中古かによって適用される要件が変わります。
土地のみの購入は住宅ローン控除の対象外ですが、住宅の新築と併せて土地を購入し、一体のローンを組む場合は、土地の取得費用も控除の対象に含めることが可能です。
新築住宅・買取再販住宅の場合の条件
新築住宅で控除を受けるには、2024年以降的の建築確認物件では省エネ基準に適合していることが必須です。
認定長期優良住宅や低炭素住宅といった性能の高い優良住宅は、より高い借入限度額が適用されます。
買取再販住宅も新築同様の扱いとなり、省エネ性能によって限度額が変わります。
これらの条件を満たしていることを証明するため、建築確認済証や請負契約書、検査済証、省エネ住宅の性能を証明する書類などが必要となります。
中古住宅(既存住宅)の場合の条件
中古住宅(既存住宅)で控除を受けるための重要な要件は、耐震性能です。
原則として、建築日が1982年1月1日以降の物件(新耐震基準適合住宅)であることが求められます。
それ以前に建築された中古住宅の場合は、現行の耐震基準に適合していることを証明する「耐震基準適合証明書」を取得するか、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入するなどの条件を満たす必要があります。
この耐震性に関する要件をクリアできない物件は、住宅ローン控除の対象となりません。
リフォーム・増改築の場合の条件
リフォームや増改築で住宅ローン控除を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
まず、自身が所有し居住している家屋の工事であること。
次に、控除の対象となる工事費用が100万円を超えていることが求められます。
また、工事内容は建築基準法に規定される大規模な修繕や模様替え、マンションの専有部分の床や壁の過半の修繕、省エネ改修工事、バリアフリー改修工事など、定められた特定の工事に該当しなければなりません。
これらの要件を満たすことで、リフォーム費用も控除の対象となります。
【いくら戻る?】3ステップでわかる住宅ローン控除の計算方法
住宅ローン控除で実際にいくら戻るかは、簡単な3ステップで計算できます。
大まかな目安として、年末のローン残高に0.7%を掛け合わせることで、その年の最大控除額がわかります。
例えば、年末残高が4,000万円なら最大控除額は28万円、2,000万円なら14万円です。
ただし、この金額が必ず還付されるわけではなく、自身の納税額が上限となります。
以下で具体的な計算式とシミュレーション方法を解説します。
ステップ1:年末の住宅ローン残高から年間の控除額を算出する
まず、その年の12月末時点での住宅ローン残高を確認します。
この金額は、毎年秋ごろに金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」で正確に把握できます。
この年末残高に控除率0.7%を掛けた金額が、その年の控除額の最大値となります。
ただし、住宅の省エネ性能などに応じて設定された借入限度額を超える部分の残高は計算に含められません。
もし繰り上げ返済などによって年末残高が0円になった場合、その年以降は控除を受けられなくなります。
ステップ2:自身の所得税額がいくらか確認する
次に、その年に納めるべき自身の所得税額を確認します。
会社員の場合、勤務先から発行される源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄を見れば年間の所得税額がわかります。
住宅ローン控除は、納めた税金が返ってくる制度のため、控除額は自身の納税額を超えることはありません。
ステップ1で計算した控除額と自身の所得税額を比較し、いずれか少ない方の金額が、まず所得税から控除される額となります。
所得税が少ない場合や非課税の場合は、控除額の一部しか使えない、あるいは全く使えないこともあります。
ステップ3:所得税で引ききれない分は住民税から上限9.75万円まで控除
ステップ2で、年間の所得税額よりも控除額の方が大きく、全額を控除しきれない場合があります。
その場合、所得税から引ききれなかった分を、翌年に支払う住民税から差し引くことが可能です。
ただし、住民税からの控除額には上限が設定されており、「所得税の課税総所得金額等の5%」または「9.75万円」のいずれか少ない方の金額までとなります。
この仕組みにより、所得税額が比較的少ない方でも、住民税と合わせて控除の恩恵を受けやすくなっています。
住宅ローン控除の申請手続きの流れを解説
住宅ローン控除を受けるためには、所定の手続きが必要です。
入居した最初の年は、会社員であっても必ず自分で確定申告を行わなければなりません。
2年目以降は、勤務先の年末調整で手続きが完了するため簡略化されます。
確定申告は、国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」を利用してオンラインで提出するのが便利です。
もし手続きに不安があれば、税務署の窓口で相談することもできます。
【初年度】会社員も必須!確定申告の必要書類と手順
住宅ローン控除の初年度は、個人事業主だけでなく会社員も、入居した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
申請は、自身の納税地を管轄する税務署に対して行います。
手続きには多くの必要書類が求められます。
具体的には、確定申告書、本人確認書類(マイナンバーカードなど)、不動産の登記事項証明書(法務局で取得)、売買契約書や工事請負契約書の写し、金融機関発行の年末残高等証明書などです。
また、認定住宅の場合は、その性能を証明する認定通知書や建設住宅性能評価書の写しも必要になります。
【2年目以降】年末調整だけでOK!手続きを簡略化する方法
2年目以降の手続きは大幅に簡略化されます。
初年度の確定申告が完了すると、その年の10月ごろに税務署から、残りの控除期間分の「住宅借入金等特別控除申告書」という用紙がまとめて送付されます。
2年目からは、勤務先の年末調整の際に、この申告書とその年の分1枚、そして金融機関から送られてくる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の2点を提出するだけで手続きは完了します。
これにより、改めて確定申告を行う手間が省けます。
住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?控除額への影響を解説
住宅ローン控除とふるさと納税は併用できます。
しかし、両制度とも税金の控除を利用するため、場合によっては控除額に影響が出ることがあります。
特に、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用する場合、控除は全額が住民税から行われます。
もし住宅ローン控除によって所得税が0円になっていると、ふるさと納税の控除額が住民税の控除上限を超えてしまい、自己負担額が増える可能性があります。
生命保険料控除など他の控除も同様に、控除額の合計が自身の納税額を超えないか確認することが大切です。
知っておきたい住宅ローン控除の注意点
住宅ローン控除は大きな節税効果が期待できる制度ですが、その恩恵を最大限に受けるためにはいくつかの注意点があります。
ペアローンでの借り入れ方法や、繰り上げ返済のタイミング、万が一申請を忘れてしまった場合の対処法など、事前に知っておくことで、より有利に制度を活用できます。
ペアローンや共有名義でローンを組んだ場合の控除額
夫婦それぞれがローンを組むペアローンや、一つのローンを共有名義で組む場合、夫婦それぞれが住宅ローン控除の適用を受けられます。
控除額は、各自の年末ローン残高と、不動産の持分割合に応じて按分して計算されます。
例えば、ペアローンで夫婦がそれぞれ3,000万円ずつ借り入れ、持分も2分の1ずつであれば、それぞれが自身のローン残高を基に控除を申請します。
収入や働き方に応じて、夫または妻の単独ローンにするか、ペアローンにするかを検討することで、世帯全体での控除額を最適化できる場合があります。
繰り上げ返済が控除額に与える影響
繰り上げ返済をすると、住宅ローンの元金が減るため総返済額を抑える効果があります。
しかし、住宅ローン控除は年末のローン残高を基準に計算されるため、繰り上げ返済によって年末残高が減少すると、翌年以降の控除額も減ってしまいます。
特に現在の低金利下では、利息軽減効果よりも住宅ローン控除による節税効果の方が大きいケースも少なくありません。
また、繰り上げ返済によって返済期間が当初の契約から10年未満になった場合、控除の対象から外れてしまうため注意が必要です。
申請を忘れた場合は5年以内なら還付申告が可能
初年度の確定申告を忘れた場合でも、すぐに諦める必要はありません。
控除を受ける権利がある年の翌年1月1日から5年以内であれば、「還付申告」という形で過去にさかのぼって申請することが可能です。
この期限を過ぎてしまうと控除は受けられません。
2年目以降の年末調整で申請を忘れた場合も、自身で確定申告を行えば控除を受けられます。意図せず無申告の状態のまま放置することのないよう、忘れたことに気づいた時点で、速やかに所轄の税務署に相談し、手続きを進めることが重要です。
住宅ローン控除に関するよくある質問
ここでは、住宅ローン控除に関して特に多く寄せられる質問について、Q&A形式で解説します。
Q. 省エネ基準を満たしていない中古住宅でも控除の対象になりますか?
はい、対象となる場合があります。
2024年からの省エネ基準適合の義務化は、主に新築住宅に対するものです。
中古住宅の場合は、1982年1月1日以降に建築された物件であるか、それ以前の建築でも耐震基準適合証明書などで現行の耐震基準を満たすことが証明できれば、省エネ基準を満たしていなくても控除の対象となります。
Q. 年収が低いと控除額を満額受け取れないのはなぜですか?
住宅ローン控除は、自身が納める所得税と住民税の一部から税金を還付する制度です。
年間の最大控除可能額(年末ローン残高×0.7%)が、自身の年間の納税額を上回る場合、還付される金額は納税額が上限となります。
したがって、年収が比較的低く、納税額が少ない場合は、控除額を全額使いきれず、満額を受け取れないことがあります。
Q. 2年目以降の年末調整で必要な書類を教えてください。
2年目以降の年末調整で必要な書類は2点です。
1つは、初年度の確定申告後に税務署から送られてくる「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」です。
もう1つは、ローンを組んでいる金融機関から毎年送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」です。
この2つの書類を勤務先に提出します。
まとめ
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の0.7%を上限に、所得税や住民税から税額が控除される制度です。
2024年・2025年の制度では、特に新築住宅における省エネ基準への適合が必須条件となるなど、要件が変更されています。
一方で、子育て世帯や若者夫婦世帯には借入限度額の上乗せ措置が設けられています。
控除を受けるためには、初年度に確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で手続きを行います。
適用要件や手続きを正しく理解し、自身の状況に合わせて適切に活用することが求められます。


