住宅ローン控除を受けるための申請手続きは、入居した初年度と2年目以降で流れが異なります。
初年度はご自身で確定申告を行う必要があり、2年目以降は会社員であれば会社の年末調整で手続きが完了します。
この記事では、必要書類の集め方からWEBを利用した申請方法まで、具体的な手続きの流れを解説します。
2026年以降の税制改正も見据え、住宅ローン控除の申請をスムーズに進めるためのポイントを確認しましょう。
住宅ローン控除(減税)とは?制度の基本をわかりやすく解説
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用してマイホームの新築、取得、増改築などをした場合に、年末時点でのローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除できる制度です。
所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税からも一部が控除されます。
この制度は、住宅取得者の金利負担を軽減することを目的としています。
【全体像】住宅ローン控除の手続きは初年度と2年目以降で異なる
住宅ローン控除の申請方法は、入居した初年度(1年目)と2年目以降で大きく異なります。
初年度は、会社員や個人事業主にかかわらず、すべての人が確定申告を行う必要があります。
一方、給与所得者(会社員など)の場合、2年目以降は会社の年末調整で手続きが完了するため、毎年確定申告をする必要はありません。
この手続きの違いを理解しておくことが、スムーズな申請の第一歩です。
入居1年目は確定申告での申請が必要
住宅ローン控除を初めて受ける年、つまり入居した年の翌年には、必ず確定申告をしなければなりません。
これは会社員であっても同様です。
個人事業主の場合は、毎年の事業所得などを申告する青色申告とあわせて、住宅ローン控除の申請を行います。
この初年度の確定申告によって、税務署に住宅ローン控除の対象者であることを登録する意味合いがあります。
会社員なら2年目以降は年末調整で手続きが完了
初年度の確定申告を終えた会社員は、2年目以降の手続きが大幅に簡略化されます。
具体的には、会社の年末調整で住宅ローン控除の申請が可能です。
税務署から送付される「控除申告書」と、金融機関から届く「年末残高証明書」の2点を勤務先に提出するだけで手続きは完了します。
これにより、確定申告の手間を省くことができます。
【所得や返済期間】控除対象となる人の主な要件
住宅ローン控除を受けるには、申請者自身がいくつかの要件を満たす必要があります。
主な要件として、控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること、住宅ローンの返済期間が10年以上残っていることが挙げられます。
また、自らが居住するための住宅であることも条件です。
これらの要件は申請する各年において満たしている必要があり、期限や期間の条件を確認することが重要です。
【床面積や築年数】控除の対象となる住宅の主な要件
控除の対象となる住宅にも要件が定められています。
まず、住宅の床面積が50平方メートル以上であることが基本です。
合計所得金額が1,000万円以下の年に限り、床面積要件は40平方メートル以上に緩和されます。
また、中古住宅の場合は、1982年1月1日以降に建築されたもの(新耐震基準適合住宅)であるか、耐震基準適合証明書などを取得できる物件である必要があります。
いくら戻ってくる?住宅ローン控除で還付される金額の計算方法
住宅ローン控除によって実際にいくら還付されるのかは、年末のローン残高や住宅の性能によって決まります。
基本的な計算方法を理解し、自身のケースに当てはめてシミュレーションすることで、年間の還付額の目安を把握することができます。
ただし、控除額は納めた所得税・住民税の額が上限となるため、計算結果がそのまま還付されるわけではない点に注意が必要です。
控除額の計算式は「年末の住宅ローン残高 × 0.7%」
住宅ローン控除で受けられる年間の最大控除額は、「年末時点の住宅ローン残高×0.7%」という計算式で算出されます。
例えば、年末のローン残高が3,000万円だった場合、その年の控除額は最大で21万円となります。
ただし、この金額はあくまで上限であり、実際に納めた所得税と一部の住民税の合計額を超える還付は受けられません。
【一覧表】住宅の性能によって変わる借入限度額
控除額を計算する際の「年末の住宅ローン残高」には上限が設けられており、この上限額を「借入限度額」と呼びます。
借入限度額は、取得した住宅の環境性能によって異なります。
例えば、長期優良住宅や低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅など、環境性能が高い住宅ほど限度額が高く設定されています。
新築か中古か、また入居する年によっても限度額が変わるため、自分の住宅がどの区分に該当するか確認が必要です。
【1年目】確定申告の詳しい申請手順と必要書類
入居1年目に行う確定申告は、住宅ローン控除を初めて受けるための重要な手続きです。
申請期間や方法を事前に確認し、多岐にわたる必要書類を漏れなく準備することが求められます。
ここでは、初年度の確定申告における申請期間、申請方法、整理された必要書類の一覧を詳しく解説します。
郵送やオンラインでの提出も可能ですので、自分に合った方法を選びましょう。
申請はいつからいつまで?還付申告なら1月から可能
通常の確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日までと定められています。
しかし、住宅ローン控除の申請は、納めすぎた税金の還付を受ける「還付申告」に該当するため、確定申告期間を待たずに、翌年の1月1日から申告手続きが可能です。
早めに手続きを済ませたい場合は、1月中に申告を済ませることもできます。
この申告は、入居した年の翌年に行います。
申請方法は3種類!オンライン(e-Tax)での手続きが便利
確定申告の申請方法には、主に3つの選択肢があります。
1つ目は、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用して申告書を作成し、e-Tax(電子申告)でオンライン提出する方法です。
2つ目は、作成した申告書を印刷して税務署に郵送する方法。
3つ目は、税務署の窓口へ直接持参する方法です。
時間や場所を選ばずに申請できるe-Taxが特に便利でおすすめです。
【入手先別】確定申告に必要な書類一覧
確定申告では、さまざまな機関から書類を取り寄せる必要があります。
どの書類をどこで入手するのかを事前に把握しておくことで、スムーズに準備を進めることができます。
勤務先、金融機関、法務局、不動産会社など、書類の入手先は多岐にわたります。
以下で、具体的な必要書類とそれぞれの入手先を確認し、計画的に準備を進めましょう。
勤務先から取得する書類:源泉徴収票
会社員や公務員の場合、勤務先である会社から年末に「源泉徴収票」が交付されます。
この書類には、その年の給料収入や納めた所得税額が記載されており、確定申告書を作成する際に必要不可欠な情報が含まれています。
通常は12月か翌年1月に受け取れますが、手元にない場合は会社の経理担当部署などに再発行を依頼してください。
金融機関から取得する書類:住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
住宅ローンを契約している金融機関からは、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」が送付されます。
これは、年末時点でのローン残高を証明する重要な書類です。
通常、毎年10月頃に金融機関から郵送で届きます。
もし紛失してしまった場合は、借入先の金融機関に連絡して再発行を依頼しましょう。
法務局で取得する書類:登記事項証明書
土地や建物の所有権などを証明するために、「登記事項証明書」が必要です。
この書類は、物件の所在地を管轄する法務局の窓口で取得するか、オンラインで請求することも可能です。
土地と建物の両方を購入した場合は、それぞれの登記事項証明書が必要となります。
取得には手数料がかかるため、事前に確認しておきましょう。
不動産会社から取得する書類:不動産売買契約書・工事請負契約書の写し
住宅の取得年月日や取得対価の額を証明するために、「不動産売買契約書」や「工事請負契約書」の写しを提出します。
これらの契約書は、住宅の購入や建築を依頼した不動産会社やハウスメーカーとの間で交わした書類です。
契約時に受け取った原本をコピーして使用します。
紛失した場合は、契約した会社に相談してください。
自分で用意・作成する書類:マイナンバーカード、確定申告書など
申請者自身で用意する書類もあります。
まず、本人確認書類としてマイナンバーカードが必要です。
マイナンバーカードがない場合は、通知カードと運転免許証などの本人確認書類の組み合わせで代用できます。
また、申告書自体である「確定申告書」は、税務署で入手するか、国税庁のウェブサイトからダウンロードして作成します。
住民票の写しが必要になるケースもあるため、事前に確認しておくと安心です。
e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使った申請の5ステップ
e-Taxを利用すれば、自宅のパソコンやスマートフォンから住宅ローン控除の確定申告が可能です。
主な手順は、①マイナンバーカードと読み取り可能なスマホまたはICカードリーダライタの準備、②国税庁の「確定申告書等作成コーナー」へのアクセス、③画面の案内に沿った収入や控除額の入力、④源泉徴収票や残高証明書など必要書類の内容の入力、⑤作成した申告データを送信、という5つのステップで完了します。
【2年目以降】年末調整での手続きの流れと必要書類
住宅ローン控除の申請は、2年目以降、会社員であれば手続きが大幅に簡素化されます。
初年度の確定申告とは異なり、勤務先の年末調整で手続きが完了するため、毎年税務署へ行く必要はありません。
ここでは、2年目以降の年末調整における具体的な手続きの流れと、提出が必要となる書類について解説します。
あらかじめ流れを把握しておけば、年末の忙しい時期でも慌てず対応できます。
年末調整で住宅ローン控除を申請する手順
2年目以降の申請方法は、会社から配布される年末調整関連の書類に必要事項を記入し、添付書類と一緒に提出するという流れが基本です。
具体的には、税務署から送られてくる「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」に、金融機関から届く「年末残高等証明書」に記載のローン残高等を転記・計算し、両方の書類を勤務先に提出します。
これで手続きは完了です。
税務署から届く「申告書」と金融機関の「残高証明書」を提出
年末調整で提出する必要がある主な書類は「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」、そして住宅ローンを組んでいる金融機関から毎年送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」です。これらの書類を勤務先に提出します。
住宅ローン控除の申請に関するよくある質問
住宅ローン控除の申請手続きは複雑な部分もあり、さまざまな疑問が生じやすいものです。
特に、共有名義の場合の申請方法や、万が一申請を忘れてしまった場合の対処法など、個別のケースに関する相談も少なくありません。
ここでは、申請にあたって特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
不安な点を解消し、安心して手続きを進めましょう。
Q1. 夫婦の共有名義で住宅ローンを組んだ場合、それぞれ申請が必要ですか?
はい、夫婦それぞれがご自身の持分割合と住宅ローンの負担割合に応じて、住宅ローン控除の申請手続きを行う必要があります。
例えば、夫と妻がそれぞれローンを組むペアローンの場合、各自が確定申告(初年度)や年末調整(2年目以降)で申請します。
これにより、夫婦それぞれが所得税の控除を受けられます。
Q2. 初年度の確定申告を忘れてしまった場合、どうすればよいですか?
初年度の確定申告を忘れてしまっても、5年以内であれば「還付申告」として遡って申請することが可能です。
申告せずに放置していると、将来的に思わぬ税務調査などの対象になるリスクを完全に否定はできないため、気づいた時点で早めに手続きを行いましょう。諦めずに、過去の確定申告書を作成し、必要書類を揃えて税務署に提出してください。
手続きをすれば、本来受けられるはずだった控除額の還付を受けられます。
Q3. ふるさと納税や医療費控除と併用して申請することはできますか?
はい、住宅ローン控除は、ふるさと納税や医療費控除と併用して申請できます。
ただし、確定申告をする場合、ふるさと納税のワンストップ特例制度は適用されなくなるため、寄付した金額もあわせて申告する必要があります。
また、各種控除には所得税から差し引かれる順番があるため、併用することで還付額が変わる可能性があります。
まとめ
住宅ローン控除の申請は、初年度は確定申告、会社員の場合は2年目以降は年末調整で行います。初年度の確定申告では、登記事項証明書や売買契約書の写しなど多くの書類が必要です。
手続きをスムーズに進めるためには、事前に必要書類と入手先を確認し、計画的に準備を始めることが重要です。特に初年度の確定申告は還付申告として1月から手続きできます。


