確定申告を税理士に依頼する最大のメリットは、申告にかかる時間や税務判断の負担を減らし、本業に集中しやすくなることです。
一方で、税理士費用がかかるほか、資料の提出や税理士からの質問への回答など、依頼者側で行う作業もあります。
そのため、「税理士に頼めば必ず得をする」「自分で申告した方が安いから正解」と一概に決めることはできません。
この記事では、確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリットと、自分で申告する場合との違いを個人事業主・フリーランス向けに分かりやすく解説します。
税理士に依頼するか迷ったら、まずここを比較
- 確定申告にどれくらい時間を使っているか
- 経費や税金の判断に不安があるか
- 会計ソフトへの入力を自分で続けたいか
- 消費税など申告内容が複雑になっていないか
- 税理士費用と、自分の時間の価値をどう考えるか
確定申告は税理士に依頼するべき?自分で申告するべき?
確定申告は、必ず税理士へ依頼しなければならないものではありません。
取引件数が少なく、自分で帳簿を付けられ、税金について調べることが苦にならない方であれば、自分で確定申告することも十分可能です。
一方、記帳や申告書作成に時間を使いたくない方、経費や控除の判断に不安がある方、消費税申告が必要な方などは、税理士へ依頼するメリットが大きくなります。
| 比較項目 | 税理士に依頼 | 自分で申告 |
|---|---|---|
| 費用 | 税理士費用がかかる | 税理士費用はかからない |
| 記帳・申告の手間 | 依頼範囲によって大きく減らせる | 原則として自分で対応 |
| 税務判断 | 税理士へ相談できる | 自分で調べて判断する |
| 申告ミス | 専門家の確認により防ぎやすい | 自分で確認する必要がある |
| 事業の数字 | 報告内容を自分でも確認することが重要 | 自分で集計するため把握しやすい |
税理士に依頼した場合の流れ
資料を提出すれば、税理士が内容を確認し、確定申告まで進めます。
STEP 1
資料を提出
領収書・通帳・カード明細などを提出
STEP 2
税理士が確認・記帳
仕訳・経費・控除などを確認
STEP 3
確定申告
申告書を作成し、提出まで対応
税理士に任せても、事業の数字を把握できなくなるわけではありません
仕訳や確定申告の作業を税理士へ任せながら、売上・経費・利益・納税額などの重要な数字は自分で確認できます。 「経理作業には時間をかけたくない。でも、自分の事業の数字は把握しておきたい」という方にも、税理士への依頼は一つの選択肢です。
税理士と会計ソフトのどちらが向いているか詳しく比較したい方は、税理士と会計ソフトはどっち?費用・手間・安心感を比較も参考にしてください。
確定申告を税理士に依頼するメリット
記帳や申告書作成の手間を減らせる
税理士に依頼する大きなメリットが、確定申告に必要な事務作業を減らせることです。
確定申告では、売上や経費の集計だけでなく、日々の仕訳、決算書の作成、所得や控除の計算、申告書の作成など多くの作業が発生します。
記帳代行まで税理士へ依頼する契約であれば、領収書や通帳、カード明細などを提出し、仕訳・記帳から任せることもできます。
会計ソフトへの入力そのものを負担に感じている方にとって、大きな時間削減につながります。
経費や控除について相談できる
確定申告で難しいのは、単純な数字の入力だけではありません。
「この支出は経費になるのか」「自宅兼事務所の家賃はどこまで経費にできるのか」「どの控除を利用できるのか」など、税務上の判断が必要になる場面があります。
税理士へ依頼すれば、自分の事業や取引内容を説明したうえで、税務上の取り扱いを相談できます。
個人事業主の経費の基本について知っておくと、税理士とのやり取りもしやすくなります。
申告ミスや手続き漏れを防ぎやすい
自分で確定申告する場合、仕訳の間違い、経費の計上漏れ、控除の適用漏れ、申告書への転記ミスなどが起こる可能性があります。
税理士へ依頼すれば、税務の専門家が帳簿や申告内容を確認するため、自分だけで作成する場合と比べてミスや漏れを防ぎやすくなります。
ただし、税理士へ依頼したからといって絶対に誤りが起こらないという意味ではありません。
依頼者側も売上や支出について正しい情報を伝え、税理士から確認事項があれば適切に回答することが重要です。
確定申告に使う時間を本業に回せる
個人事業主やフリーランスにとって、時間も重要な経営資源です。
確定申告のために会計ソフトへ入力したり、税金について何時間も調べたりしているのであれば、その時間を営業、商品開発、顧客対応などの本業へ回すという考え方もあります。
税理士費用だけを見るのではなく、自分で確定申告するために使っている時間の価値も含めて比較することが大切です。
税金について相談できる環境を作れる
契約内容によっては、確定申告だけでなく、年間を通じて税金について相談できる場合があります。
例えば、経費の判断、青色申告、消費税、インボイス制度、法人化などについて疑問が出たときに相談できます。
また、毎月や定期的に帳簿を確認してもらう契約であれば、利益の状況から納税額の目安を把握し、納税資金を準備しやすくなることもあります。
ポイント
確定申告だけのスポット契約と、年間を通じて相談できる顧問契約では、受けられるサービスが異なります。「何を相談したいのか」まで考えて契約内容を確認しましょう。
確定申告を税理士に依頼するデメリット
税理士費用がかかる
税理士へ依頼する最大のデメリットは、当然ながら費用が発生することです。
料金は、確定申告書の作成だけを依頼するのか、記帳から任せるのか、消費税申告も必要なのかなどによって異なります。
そのため、「税理士に頼むといくら」という一律の金額で比較することはできません。
詳しい料金については、確定申告を税理士に頼む場合の料金相場をご覧ください。
資料の提出や税理士とのやり取りは必要
税理士に依頼しても、本人が完全に何もしなくてよいわけではありません。
売上や経費が分かる資料を提出し、内容が分からない取引について税理士から質問を受けた場合は回答する必要があります。
例えば、クレジットカード明細に店舗名だけが表示されていて何を購入したのか分からない場合、税理士だけで事業上の経費かどうかを判断することはできません。
ただし、資料を提出すれば記帳から確定申告まで対応している税理士事務所もあります。
詳しくは、確定申告は税理士に丸投げできる?依頼できること・必要書類・流れをご覧ください。
依頼する税理士によってサービス内容が異なる
「確定申告を税理士に依頼する」といっても、どこまで対応してくれるかは事務所によって異なります。
例えば、次のような違いがあります。
- 記帳まで料金に含まれるか
- 税務相談ができるか
- 相談回数に制限があるか
- 消費税申告が別料金か
- 資料をどの方法で提出するか
- 税務調査対応が料金に含まれるか
料金だけで比較するのではなく、必要なサービスが含まれているかまで確認しましょう。
税金や会計を自分で学ぶ機会が減ることがある
帳簿作成や確定申告をすべて税理士へ任せると、自分で会計処理をする機会は少なくなります。
ただし、経営者がすべての仕訳や税法を理解する必要があるわけではありません。
税理士へ任せる場合でも、「今年の売上はいくらか」「経費はいくらか」「利益はいくらか」「いくら納税する見込みか」といった事業の基本的な数字は確認することをおすすめします。
期限直前では依頼できない場合がある
確定申告期限が近づくと、すでに新規受付を終了している税理士事務所もあります。
また、期限直前の依頼について追加料金を設定している事務所もあります。
税理士へ依頼すると決めているのであれば、できるだけ早めに相談した方が選択肢を確保しやすくなります。
自分で確定申告するメリット
税理士費用を抑えられる
自分で確定申告する最大のメリットは、税理士への依頼費用がかからないことです。
会計ソフトを利用する場合はソフトの利用料などがかかる場合がありますが、税理士へ記帳や申告を依頼する場合と比べれば、直接的な費用は抑えやすくなります。
自分で事業の数字を把握しやすくなる
自分で帳簿を付ければ、毎月どのくらい売上があり、どの経費が増えているのかを把握する機会が増えます。
数字を自分で確認する習慣が付けば、資金繰りや経営判断にも役立ちます。
ただし、税理士へ依頼した場合でも、定期的に会計データを確認すれば事業の数字を把握することは可能です。
会計や税金について知識が身につく
自分で仕訳や確定申告を行う過程で、勘定科目、経費、所得、控除などの基本的な知識が身につきます。
事業を続けるうえで税金の基本を理解しておくことはメリットになります。
自分のペースで作業できる
税理士との打ち合わせや資料提出期限に合わせる必要がなく、自分のタイミングで帳簿作成や申告作業を進められます。
取引数が少なく、毎月きちんと記帳できている方であれば、自分で進める方が気楽なケースもあります。
自分で確定申告するデメリット
記帳や申告書作成に時間がかかる
確定申告を自分で行う場合、領収書や明細の確認、会計ソフトへの入力、決算書作成、申告書作成まで自分で行います。
取引件数が増えるほど作業量も増えるため、本業が忙しい方にとって大きな負担になることがあります。
経費や控除を自分で判断する必要がある
「何が経費になるのか」「家事按分をどうするのか」「利用できる控除はあるのか」といった内容も、自分で確認して判断する必要があります。
会計ソフトを利用していても、税務上の判断そのものをすべて自動で行ってくれるわけではありません。
税制改正を自分で確認する必要がある
税制は改正されることがあります。
前年と同じ方法で申告してよいとは限らないため、毎年必要な制度変更を確認する必要があります。
申告ミスや計上漏れに自分で対応する必要がある
自分で申告した場合、申告内容について税務署から問い合わせがあれば、自分で内容を確認して回答します。
申告後に誤りに気付いた場合も、修正申告や更正の請求など必要な手続きを自分で確認することになります。
税理士に依頼する場合と自分で申告する場合を比較
| 項目 | 税理士へ依頼 | 自分で申告 |
|---|---|---|
| 税理士費用 | かかる | かからない |
| 記帳作業 | 契約によって任せられる | 自分で行う |
| 申告書作成 | 税理士が対応 | 自分で対応 |
| 経費・控除の判断 | 相談できる | 自分で調べる |
| 税制改正への対応 | 税理士が確認 | 自分で確認 |
| 確定申告に使う時間 | 減らしやすい | 多くなりやすい |
税理士に確定申告を依頼した方がいい人
帳簿や確定申告に時間をかけたくない人
「経理に使う時間をできるだけ減らして、本業へ集中したい」という方は税理士への依頼が向いています。
特に、会計ソフトへの入力そのものを負担に感じている場合は、記帳から依頼できるサービスを選ぶと大幅に作業を減らせます。
経費や税金の判断に不安がある人
経費になるかどうかを毎回インターネットで調べている方や、税金の計算が合っているか不安な方も、税理士へ依頼するメリットがあります。
自己判断で処理するより、具体的な事業内容を伝えて専門家へ確認できる環境を作れます。
売上や取引件数が増えている人
事業が成長すると、売上だけでなく経費や入出金の件数も増える傾向があります。
これまで自分で簡単に管理できていても、取引件数が増えるにつれて記帳の負担が大きくなることがあります。
消費税の申告が必要な人
所得税に加えて消費税申告が必要になると、確定申告の確認事項は増えます。
個人事業者の場合、原則として前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合などは消費税の課税事業者となります。
ただし、前々年の課税売上高だけで決まるわけではありません。前年の一定期間における課税売上高などによって課税事業者となる場合や、インボイス発行事業者として登録していることで消費税申告が必要になる場合もあります。
自分が消費税申告の対象か分からない場合は、早めに確認しましょう。
毎年確定申告を期限直前まで放置してしまう人
毎年2月や3月になってから領収書を集め始めるという方も、税理士への依頼を検討する価値があります。
年間を通じて資料を提出する仕組みにしておけば、申告期限直前に1年分をまとめて作業する負担を減らせます。
自分で確定申告しやすい人
一方、次のような方は自分で確定申告する方法も選択肢になります。
- 取引件数が少ない
- 毎月きちんと帳簿を付けている
- 会計ソフトの操作が苦にならない
- 経費や税金について自分で調べられる
- 確定申告に使う時間を確保できる
- 申告内容が比較的シンプル
自分で申告するか税理士へ任せるか迷っている場合は、単純な費用だけでなく、年間で経理や確定申告に何時間使っているかも考えてみましょう。
税理士に確定申告を依頼するとどこまで任せられる?
確定申告書の作成・提出だけ依頼する
日々の記帳を自分で行い、決算書や確定申告書の作成・提出だけ税理士へ依頼する方法があります。
会計ソフトへの入力は自分でできるものの、最後の税務判断や申告書作成に不安がある方に向いています。
記帳から確定申告までまとめて依頼する
領収書、通帳、カード明細などを提出し、仕訳・記帳から決算、確定申告までまとめて依頼できる事務所もあります。
「会計ソフトを触りたくない」「経理作業そのものを減らしたい」という方に向いています。
消費税申告まで依頼する
消費税の課税事業者であれば、所得税の確定申告に加えて消費税申告も税理士へ依頼できます。
ただし、所得税の確定申告料金とは別料金になっている事務所もあるため、契約前に確認しましょう。
税務相談や納税額の予測まで相談する
継続的な契約であれば、記帳や申告だけでなく、税金に関する相談や利益・納税額の見込みについて相談できる場合があります。
どこまで対応するかは事務所や契約内容によって異なります。
税理士を選ぶときに確認したいポイント
料金に何が含まれているか
税理士を比較するときは、表示金額だけを見るのではなく、その料金でどこまで対応してもらえるのかを確認しましょう。
記帳、確定申告、税務相談、消費税申告などが基本料金に含まれているかによって、実際の負担額が変わります。
資料の提出方法が自分に合っているか
紙で郵送するのか、スマートフォンで撮影するのか、データで共有するのかによって日々の負担は変わります。
継続して利用するのであれば、自分にとって簡単に続けられる提出方法かどうかも重要です。
質問しやすいか
税理士へ依頼しても、経費や税金について確認したいことは出てきます。
専門用語だけで説明されるのではなく、疑問を気軽に質問できるかも確認しましょう。
詳しくは、個人事業主が税理士を選ぶときのポイントをご覧ください。
確定申告を税理士に依頼する際のよくある質問
確定申告だけ税理士に依頼できますか?
はい。確定申告だけを単発で受け付けている税理士事務所もあります。
ただし、申告書だけを作成してもらうのか、記帳から依頼するのかによって料金や必要な資料は異なります。
領収書を渡すだけで依頼できますか?
領収書や明細などの資料から記帳するサービスを提供している税理士事務所もあります。
ただし、取引内容が分からないものについては本人への確認が必要です。
また、紙の領収書をそのまま渡せるのか、画像化が必要なのかなど、提出ルールは事務所によって異なります。
会計ソフトを使っていても税理士に依頼できますか?
はい。自分で会計ソフトへ入力し、決算や確定申告だけ税理士へ依頼する方法もあります。
入力内容のチェックや税務判断だけ専門家へ任せたい方にも利用しやすい方法です。
税理士に依頼すれば税務調査は来なくなりますか?
いいえ。税理士へ確定申告を依頼しても、税務調査が行われる可能性がなくなるわけではありません。
税理士に依頼するメリットは、申告内容を専門家に確認してもらえることです。
また、税務調査が行われる場合に税理士へ立会いや税務署とのやり取りを依頼できることもありますが、確定申告料金に含まれているとは限りません。
税理士に依頼すれば必ず節税できますか?
いいえ。税理士に依頼しただけで必ず税金が安くなるわけではありません。
税理士へ相談することで、利用できる制度や必要経費、控除などを適切に確認し、払い過ぎや申告漏れを防ぎやすくなるというメリットがあります。
節税だけではなく、申告に使う時間や税務上の不安を減らせるかも含めて依頼を判断しましょう。
タクバツなら、確定申告の作業をまとめて税理士に任せられます
タクバツは、資料をアップロードすれば、仕訳・記帳から確定申告まで税理士が対応するサービスです。 「会計ソフトへの入力に時間をかけたくない。でも、申告は税理士に任せたい」という個人事業主・フリーランスの方に向いています。
まとめ|費用だけでなく時間と手間まで比較しよう
確定申告を税理士に依頼すると、記帳や申告書作成の負担を減らし、経費や税金について専門家へ相談できるメリットがあります。
一方で、税理士費用がかかり、資料提出や確認事項への回答が必要になることはデメリットです。
取引件数が少なく、自分で帳簿を付けることが苦にならない方であれば、自分で確定申告する方法でも問題ありません。
反対に、経理作業に時間を取られている方、税務判断に不安がある方、消費税申告などで処理が複雑になっている方は、税理士へ任せることで得られるメリットが大きくなります。
税理士費用だけではなく、自分が確定申告に使っている時間・手間・不安まで含めて比較することが重要です。
確定申告や税金について基礎から確認したい方は、タクバツの税金ガイドもご覧ください。

